どこまで治すか
人の歯は上に14本、
下に14本あります。
(親知らずを除く)
これを「歯列」と言います。
歯科医が治療するにあたり
「どこまで治療すべきか」
という問題があります。
どこまで、とは
依頼された「その歯」だけ治せばいいか
「歯列全体」の健康を考えるべきか
「歯列全体と顎の関節など咀嚼器官」の健康まで考えるべきか
「歯列全体と顎の関節など咀嚼器官から体のゆがみや重心など体全体のこと」まで
考えるべきか
歯科医によって考えはそれぞれです。
私自身は「体全体のこと」まで考えて
学び続けるべきだと
思ってはいますが
話が大きくなるほど
科学的根拠が怪しくなってくることも
事実です
老化で変化してゆく体に対して
歯だけがそれにあらがうことが
そもそもできるのか、というのもあります。
どこまでやるべきか
どこまでできるのか
人は変わってゆきますし
変化は経験しなければわからないと思います。
やはりこれは
いろいろな関係性(バランス)の問題であり
それぞれの患者様と我々との関係
それぞれの患者様の老化とその受け入れの関係
その処置の学問的正確さと臨床実感の関係
それぞれの患者様の自然治癒力との関係
歯科にかかわることは
さまざまな動的な平衡状態を維持しつづけることでも
あると思っています。