~かけがえのない歯を大切にする治療、価値ある治療結果、そしてつらくない治療をめざしています~

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日々雑感

どこまで治すか

人の歯は上に14本、
下に14本あります。
(親知らずを除く)

これを「歯列」と言います。

歯科医が治療するにあたり
「どこまで治療すべきか」
という問題があります。


どこまで、とは

依頼された「その歯」だけ治せばいいか

「歯列全体」の健康を考えるべきか

「歯列全体と顎の関節など咀嚼器官」の健康まで考えるべきか

「歯列全体と顎の関節など咀嚼器官から体のゆがみや重心など体全体のこと」まで
考えるべきか

歯科医によって考えはそれぞれです。

私自身は「体全体のこと」まで考えて
学び続けるべきだと
思ってはいますが

話が大きくなるほど
科学的根拠が怪しくなってくることも
事実です

老化で変化してゆく体に対して
歯だけがそれにあらがうことが
そもそもできるのか、というのもあります。

どこまでやるべきか
どこまでできるのか

人は変わってゆきますし
変化は経験しなければわからないと思います。

やはりこれは
いろいろな関係性(バランス)の問題であり
 

それぞれの患者様と我々との関係
それぞれの患者様の老化とその受け入れの関係
その処置の学問的正確さと臨床実感の関係
それぞれの患者様の自然治癒力との関係

歯科にかかわることは
さまざまな動的な平衡状態を維持しつづけることでも
あると思っています。
 

2021年08月26日 00:03

シミュレーションの世界

最近はあまり考えなくなりましたが

以前はこの世界がどのようにできたのか
知りたいと思っていました

もしかしたら試験管の中で
あるいはコンピュータの中に
作られた世界なのではないか、とか

宇宙の始めの瞬間の、その前はどうなっているのか、とか
あるいは物質をずっと分解していくとどうなるのか、とか
逆に宇宙を外から見るとどうなっているのか

最近は残りの人生をよりよく生きることの方が
大事になってしまった?ようで
めっきり考えなくなってしまいましたが…

こういうことを考えるには
若さ、が必要なのかもしれません。

その昔、患者さんとして来院していた
関連する分野の大学教授に質問したことがあります。
女性でAIシミュレーションなどの
研究者でしたが

例えば
コンピューターが進化すれば
この世界すべてとは言わなくとも
人間一人の体くらい

原子レベルから設定して
バーチャル上で作り上げることはできるのではないか、と


そうしたらそれはまだ無理だそうです。

「なぜなら私たちは”摩擦”すらよくわかっていない」
とのこと。

そういえば高校のころ
摩擦係数がでてきたころから
物理に?と思うことが多くなったような
記憶がありますが
意外とそういうことだったのかな、
なんて思いました。



 
2021年08月19日 07:17

陽だまり

認知症の話が連続していますが

私が診察に行っている老人ホームでのことです。

重度に認知症が進んでしまって
もはや寝返りを打つこともなく
発語や表情もなく
意思疎通も不可能な入所者のとある女性が
穏やかな陽だまりのベッドで横たわっていました。

私たちは口腔ケアのために部屋に入り
お声がけをして
お口を開けさせていただいたところ、
驚きました。

普段は乾燥気味の口腔内なのに
その日は大量の粘度の高い喀痰が
溜まっていたのです。

褥瘡防止のための側臥位であったので
窒息しなくて済んだのだと思いますが

急いで吸引器で喀痰をすべて除去し
口内を拭き上げて差し上げました。

部屋の壁にはその方の元気なころの写真や
ご家族とにこやかに過ごす写真が貼られていて

なんとなくですが、写真の中の穏やかなお顔に
戻ったような気がしました。







 
2021年08月15日 20:02

認知症と性格


私は時々、老人ホームで診療をしています。

いろいろな病気で入所されている方々がいらっしゃいますが
認知症の方も多いです。

そういう方の歯科治療や口腔ケアを行っています。
口腔ケアをするのは、口の中がきれいになっていると
誤嚥性肺炎が起きにくくなることが
知られているからです。

歯科衛生士さんとともにゴロゴロとカートを押して
病室に行き
お声がけをして
口腔ケアをさせていただくのですが

同じ認知症でも
とても明るく感じよく
処置後に感謝してくれる方もいれば

残念ながら
とても攻撃的だったり
ひどいことをされているかのように
大騒ぎされる方もいます。

よくスタッフルームで話すのですが

認知症になってしまった後も
そのように
いつも明るく朗らかに感謝してくれる人もいれば
残念ながら、いつも被害妄想や攻撃性を強く持つ人もいる

なにが違ったのか

痴呆後のその人の性格を分けるものは
その人が元気だったころの
何なのか

経験なのか
幼児体験なのか
育て方なのか
物事のとらえ方なのか
自信なのか

では自分はどうあるべきなのか、
考えさせられます。


 
2021年08月15日 19:19

歯科治療の記憶

ご高齢になって痴呆が進んでしまうと
発語もなくなり、
表情の変化もなくなり
意思疎通ができなくなります。

昔、ご主人が車いすを押して
奥様を連れてくるご夫妻がいらっしゃいました。

その奥様も痴呆が進んでしまって
かぶせ物が取れたり
トラブルの時だけご夫婦でいらっしゃるのですが

やはり意思疎通は全く取れないし
全くしゃべらない状態でした。

治療も可能な範囲での対応になります
無理をしても危険なためです

そんなある日、前歯が取れた、と来られました。
口の中を拝見して、
何とか再装着できるかもしれないと
処置を始めようとしたところ

普段から全く発語のないその奥様が
ごく小さな声で
何か言っていることに気づきました

びっくりして
よくよく耳を澄まして聞いてみると

「はいしゃ、こわい」
とのことでした

その方がいつどのタイミングで痴呆になってしまったのかは
わかりませんが、

ほぼ全部の歯が治療途中でした。
それも途中までですが、かなりいい材料が使われていて
歯医者さんも腕によりをかけて
治療していたのだと思うのですが
治療の途中で何らかの病気で
中断になってしまったのでしょうか

歯科医が腕によりをかけて
これが患者さんのためだと
これがいいのだ、と
信じて行っている治療が

患者さんに恐怖感や苦痛を与えてしまうことも
一般的には、あるわけです。

気を付けないといけないと思いました。
治療が大きくなるほど、
難しい歯を救おうとするほど
そのハードルは高くなりますが

でもそれができる医院だと思っていただいているから
いらしていただいている


以前ある内科の先生に
その歯の治療で麻酔をするかどうか相談しました

「もしかしたらちょっとしみるかもしれないですが」
と話すと

「医者の言う『ちょっと』は、『ちょっと』でないことが多い」
とのことでした。

非常に難しいバランスだと思います。
歯医者が慣れていることでも
当然ながら患者さんが慣れているわけではない

まさか大丈夫だろうと思っていても
予想外の反応が出てしまって
時に患者様に迷惑をかけてしまうこともあります。

だからといって
不安をあおってもいけないし
それこそ
腫れ物に触るようにしていては
いつまでも治療が進みません

こういうバランスをとりながら
大胆かつ繊細に治療を進めて
受け入れてもらえる結果、
予想以上の結果、を出す
そうありたいと思っています。











 
2021年08月15日 18:26

「治療時間」について

 

歯の治療時間は飛行機の
飛行時間に似ていると
思います。

飛行機は
離陸して、
安定飛行に入り、
そして着陸するわけですが

短距離のフライトなど
たとえば羽田ー大阪便など
時刻表では1時間5分ですが、
その大部分の時間が
離陸準備からの離陸と、
着陸準備からの着陸、の時間に費やされます。

安定飛行している時間は
どのくらいでしょうか

安定飛行している時間を
10分とか15分延ばせば
広島くらいまで行けてしまう

歯の治療もそれに似ていて
チェアを消毒して、患者様を誘導、座っていただいて
説明、麻酔、仮歯を外したり、治療部位の消毒その他

最後に
仮歯の調整、装着、説明など
するわけで

その間に
安定飛行時間でなくて
安定治療?時間があります。

離陸と着陸を省略できないのは
歯の治療も同じです。

その昔、毎回20分とか時間に遅れて来院なさる方がいらして
離陸着陸の話をさせてもらったことがあるのですが

そういう方の場合、
離陸と着陸ばかりに
時間を費やしていたことになります。

安定飛行の時間にできるだけ距離をかせぎたいわけです。

たとえば今のように1アポイント1時間でなくて
1時間半とかにすれば
もっとグーンと治療が進むかもしれませんが

歯科治療を
1時間するだけでも
結構な体力が必要だと思いますので

ご相談の上、
特に急ぐ場合や
大きな治療の場合のみ
長い治療時間を取らせていただいています。





 

2021年08月03日 11:05

当院における新型コロナウイルス感染症対策について

当院での
新型コロナウイルス感染症予防対策は以下のように行っております。

・患者様毎の治療台および機械の消毒をおこなっています。
・入室前後のアルコールによる手指消毒をお願いしています。
・診療時間中のサーキュレーターによる換気を継続的におこなっています。
・患者様毎の治療前後に、15分間の換気・消毒時間を設定しています。
・診療室内に入室できる患者様の人数を最大2名に制限させていただきます。
・患者様間のソーシャルディスタンスが確保できるよう、配慮いたします。
・その他、機械器具のオートクレーブ滅菌、グルタールアルデヒドに
 よる消毒、コップ・エプロンなどのディスポ製品の使用などおこなっております。
・診療室のエアコンをウイルス対策フィルター付きのものに交換工事しました。
・歯科医師、スタッフのコロナワクチン接種完了しております。

以上、皆様にはお手数をおかけして大変恐縮ではございますが、
今後もより安全に、より確実に、皆様の
健康回復・健康維持が達成されるよう、努力してまいりたいと思います。




 
2021年06月29日 17:40

「患者様のご希望」について考える

初診の患者さんが、
何を求めて
この医院にいらしたか

これを知るのに時間がかかることがあります。

歯科治療は
痛くなくて早くてきれいでよく嚙めて
長持ちして体に良い治療
が良い、に決まっているとは思いますが

問題は
どこにどれだけ重点を置くか、になってきます。

どういうことかというと

患者さんによって求めるポイントが微妙に違います。

「良い治療」を求めていらっしゃる、
この点は皆さん同じですが、

たとえば

多少の我慢はするから早くやってくれと
言われることもあれば

時間はかかっても
痛くないように、怖くないように
進めてほしい、といわれることもあります。

このように
はじめから希望がわかれば良いかもしれませんが
難しいと思います。

なぜなら

患者さんは当然
歯科医療関係者ではありませんので
どれくらいが「平均的」なのか
もちろんご存じないですし

やってみなければわからない、
ということが多分にあると思います。

そして歯科医ですら
それぞれ「平均」が違うので

そもそも
この歯科医の治療が
どんななのか、
受けてみなければわからない
ということがあると思います。

そしてさらに言えば

どの部位の歯なのか
どれほどの状態なのかによって

どれほど時間や労力が必要なのか
どれだけ費用がかかるのか
どれだけ治ることが期待できるのか
などが、
いろいろ違ってきます。

そういう
医者、患者の両者が
お互いの様子を見ながら
相談しつつ
治療しつつ

こういうゴールがいいのでは、と
コーディネートして
結果的にいい形にまとめよう、
とするのですから

自分で言うのもなんですが
本当、高度なサービス業だと思います。

サービスを提供するプロと呼ばれる人達は
皆そうなのかもしれませんが。


例えば
当然麻酔してほしいという患者さんと
あまり麻酔しないでとおっしゃる患者さんもいます。

中高年のビジネスマンで
短時間でどんどん治療を進めてほしいという方も
いらっしゃれば

どう見てもそのような、
「どんどん進めてほしいタイプ」に見える方が
よくよく伺ってみると
ほかの患者さんから
「決して痛くしない医院だと聞いてきました」
と、おっしゃることもあって

これはまずいと
一気に方針転換をすることもあります。

このようなコーディネートが
ずれてしまって
いわゆる
ドン引きされてしまうこともあります。
怖くなってしまうのだと思います。
気づいたらすぐ修正しますが

できるだけアンテナを敏感に張っているつもりです。


あと患者様ご自身がが変わることもあります。

はじめは歯科恐怖症のような感じで
こちらも、怖くないように痛くないように
すごく気を使いながらすすめて、
いろいろ治療を経験した結果
「こんな感じなのか」と自信をもってくださり、

もうちょっと早く進めてほしいとか
ここもここもやりたいとか
おっしゃることもあります。

そうすると当初の計画から大きく変わるわけですが
それはいいことと思います。

あと
状況を映像でお見せしながら
治療を進めて
その効果を実感していただくと

他も全部やってほしいと
言っていただけることもあります。

ただ無理していただきたくはありませんので
ご自身のペースで進めていただければ
それに合うコーディネートを
していきたいと思います。






 
2021年06月23日 00:04

力と調和

一般的に力が強くかかる歯ほど
問題が起きやすくなる傾向があります。

歯に力がかかりすぎると
欠けたり
ヒビが入ったり
詰め物が緩んできたりしやすいです。

そこから虫歯が進みます。

ではそういった歯を
すごくかたい材料でクラウンを作って
ガチっと固めたらどうなるか

今度はその歯の歯根や
支えている骨に
歯根破折や
炎症などが起きやすくなります。

ではいっそのこと
歯を抜いてしまって
強力な太いインプラントなどを植立して

上下で強力に噛ませたらどうか

そうすると
おそらく顎関節に問題が起きてきます。

こういう連鎖を
我々の業界では
Weak Link Theory
ウイークリンクセオリーと言います。

修復は
ただ強固に
同じ形態を回復するだけでは
ほかに問題が起きます

では、どうすればいいのでしょう。

バランスをとる必要があります。

歯は歯種によってそれぞれ役割があり
上の顎と下の顎で噛みあい
顎関節や筋肉と連携して機能しています。

そしてそれぞれの歯や
関節や筋肉は
年齢やそれまでの既往歴に応じて
欠けたり、すり減ったり
様々に変化してしまっています。

一つのチームとも言えます。
適材適所でメンバーが頑張っていて
でも全員が同じように歳をとっていきます。

ある日、すごい頑張っていた人とうとうダウンして

で、その人が手術して、なんとか健康を回復したら
またダウン前と同じ仕事量で仕事させるのが得策でしょうか。

誰かがダウンしたならば
そのほかの人たちもかなり疲弊していると
考えるべきです。

皆が無理せず、長く活躍できて
全体が良好に機能しつづけるためには
調和を達成する必要があります。

歯の治療は突き詰めようとすると
極めてオーダーメイド性が高いと感じます。

歯科医としてのかかわり方としては
1本治して終わり、とするかかわり方も
ありますが、

私はあまりしたくありません。
トラブルの連鎖になるからです。
ずーっと歯科医院に通うことになりかねません。

一方で
なぜこの歯が悪くなったか、
この先どうなることが予想されて
では今後生活の質をできるだけ下げないために
どうするのが最善か

あるいは逆に
今より生活の質を上げられるアプローチ、
治療法や材料はあるのか、

そういったことを考えながら対応すると
治療期間や費用はかかりますが
かなりいい結果が出せるレベルまで
歯科医学は来ている、と感じています。




 
2021年06月20日 19:06

痛みについて

久しぶりに痛みの話です

歯科では一般的に
歯や歯肉の治療を行います。

そして治療時の痛みをなくすために
麻酔を行うわけですが

どこの歯か
どこの歯肉か、によって

麻酔の効き方が違います。

さらに
歯や歯肉に炎症があるかどうか、でも
麻酔の効き方が違ってきます。

どんな場所でも
どんな状況でも
麻酔をちゃんと効かせて
痛くないように治療を完遂できるか

もちろん
麻酔そのものも痛くなくです。

これらは
歯科医の腕次第です。

さらに言えば
過去の治療で痛い思いをしたかどうか、
によっても
麻酔の効き方は違ってきます。

つまり
患者様の過去の歯科治療の状況や
歯科に限らず
医療のホスピタリティーへの
不信感のレベルに応じて

こちらがスタンスを変える必要があります。

過去の経験から
なかなか本格的な治療に踏み切れず

近づいたと思ったらまた離れて、を
繰り返す場合もあります。

それはそれでいいと思っています。
もちろん、毎回、治療の必要性をお伝えはします。

修復のプロセスには時間がかかる、
これはやむを得ないことです。

私は私の医院で
患者様に大変な思いをしてほしくない
と思っています。

もちろんその後の人生のために
治療をきちんとやる、そのために
時間や手間がかかるのはしょうがない

ただ大変な思いは
してほしくないです。

はじめから最後までつらくないように
ベストを尽くしますが

患者様により感受性や
体の反応も違ったりしますので

もし治療が少しでも痛むようなことがあれば
何とかしますので
遠慮しないで言ってほしいと思います。

具体的であると助かります。
「今触ったところだけ、ピリッとしました」
とか
「何となくしみてきました」
とか

我慢しすぎて
歯科への信頼を失うことだけは
避けたいと思っています。










 
2021年05月03日 01:04

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