~かけがえのない歯を大切にする治療、価値ある治療結果、そしてつらくない治療をめざしています~

HOMEブログページ ≫ ホスピタリティー ≫

日々雑感

ガイデッドサージェリー

当院ではインプラントを入れる際に
ガイデッドサージェリーを行います。

CTを撮影してデジタル3Dの画面上で
シミュレーションして
計算通りの位置に入れていきます。

以前のインプラント手術に比べて
圧倒的に正確で安全で早く、
そして出血量や術直後の傷の痛みなども
極めて少なくなりました。

シンプルな症例であれば
術後、痛くなく血も出なかった、
といわれることが多いです。

最近のインプラントは
表面性状といって骨と結合する部分の
性能も圧倒的に進化し
ガイドの使用で
はるかに楽に、処置も早くなり
確実性、安定性も高く、

歯がなくて入れ歯が嫌な患者様に
積極的にインプラントを勧められるようになったのは
この進歩のおかげともいえます。

このように
ガイデッドサージェリーの手技は
とてもスマートなものですが

一方で、ではそれぞれの患者様の人生のなかで
いつ、どこに、どのようにインプラントを使っていくかは
時に非常に悩ましい問題となることがあります。


今日は休日でしたが
職場で、ある患者様のCT画像や模型などを前に
頭を抱えて?おりました。

人の身体はもともと
平等にはできていなくて
時に歯のことでは非常に苦労する方々が
いらっしゃいます。

若いころにはそれはあまり顕在化しないことも
多いのですが
ある時期から
歯列の崩壊、が起きてきます。

積極的に治療してほしい、という方には
できるだけ歯列が維持されるように
積極的な治療の計画を立てますが

逆に
できるだけ治療をせずに
ケアを続けて、とりあえず
できるだけ状況が進行しないようにしてほしいと
ご希望されることもあります。

ケアだけ、というのはあまり好ましいことではありません。
やがて現実に直面するからです。

ケアを続けた場合
その結果、悪化のスピードは
ケアにより、遅くできたとしても

年齢とともにこんどは
人の身体自体が、機能低下していきます。
免疫も唾液量も骨もその他もろもろ変化し
問題の進行に拍車をかけ

やはりどこかで
本格的に、全体的に手を入れる必要が出てきます。

ケアをしながら、折に触れて
状態の悪化や
本格的に手を入れなければならない時期が近いこと
は、お話しするわけですが、

私も含め誰でも
自覚症状が「まだ大丈夫」な時は楽観的ですが、
どうにもならなくなってしまったときに
はじめて本気で状況に向き合うことになります。

さて、どのように伝えるか

「ここからここを抜歯して
こういうインプラントを入れて
こういう歯を入れます。
これが当院の治療計画書です。
これでよろしければお電話ください。」?

みたいなかかわり方であれば
楽?かもしれませんが

そうはいかないわけです。

どのように伝えるか、もそうですが、

これまで見てきた
その患者様の身体や性格を考えて
どういう順番で進めれば
生活に支障の少ない
結果に納得してもらえる進め方ができるか

例えば、抜歯すべき歯でも
とりあえず残しておいて
歯のないところに少数のインプラントを入れて
そこに仮歯で噛めるようにしておいて
慣れてきて

その抜歯すべき歯が
患者様がもういいかな、
とか思うようになったら
抜歯して、とか

でも将来的にはこの方の状況だと
ほぼすべての歯が失われてしまう可能性もあるので
将来無歯顎になっても
ブリッジに使えるような
インプラントの種類にしておいて、とか

でもこの骨だとどうかなあ、とか


時には
長時間悩んでも
結局方針が決まらず、

これはもう何回かかけて
患者様とデータを一緒に見て
患者様の反応をみて
改めて計画を作ろう、

と思うこともあります。

結局今日はそういう結論になりました。

一見、テクノロジーの進歩は
非常にスマートな手技を可能にしているように見えますが
その運用には
言葉は良くないかもしれませんが
極めて泥臭い現実というか、
その先進テクノロジーを
個々の患者様にどう適用すべきかを
歯科医が頭に汗をかきかき、考えていたりします。






 
2022年03月20日 19:51

試し行動

「試し行動」とは
子供などが
親が困るのをわかっていて
わざと悪さをして
反応をうかがうものです。

どこまで、どのように受け入れてくれるか、
を試しているのです。

根底には
不安、喪失感などがあります。
あと愛情を感じるのに苦労する
発達障害なども

下の兄弟ができて
愛情が失われたと思い
赤ちゃん返りしたりするのも
試し行動

里子になったり
親の離婚などで
大変な喪失感を感じた子供は

はじめはよく思ってもらおうと
すごくいい子にふるまうのですが、
その後、試し行動に出ます。

相手がキレて
関係を解消するかどうかを
試す

こういう子供の態度を受け入れる大人には
相当な包容力が必要とされますが
残念ながら、虐待などが起きたりすることも
あるのかもしれません。


これは実は大人になっても
続きます

根底にあるのは
不安感
孤独感
自己肯定感の低さ
各種障害
など

愛着障害、とも呼ばれるようです。

はじめはすごく感じがよかったりします。

でも
信用してから
そのあとに深く傷つくくらいなら
その前に
関係を拒絶したり
自ら関係を壊してしまう

時に石橋をたたいで壊す、
みたいなことを
繰り返してしまう。

これは
歯科恐怖症の患者さんでも起こります。

歯の治療で以前にすごい大変な思いをしたりしていると

その後
親切そうな歯科医に出会うと
非現実的な要求をしたり
すごい質問攻めにしたり
あれはするな、これもするな、
私は~治療はダメなんです、
ネットではこう書いてあったのになぜ、
悪徳なんじゃないか、とか

こちらの対応としては
もちろん緊急性の高いところは優先的に治療しますが、
残りについては、ハードルの低いところから治療させていただいて
だんだん、慣れてもらいます。
なんだ、こんなもんか、
と思ってもらえればしめたものです。

説明にも、治療にも
時間がかかりますし
様々な配慮が必要ですので
正直、安い費用でできる治療ではありません。

もちろん、先に治療計画書で金額はお伝えしてから
はじめます。

しかしそこで
少しでも治療結果に
気になることがあったりすると
それ見たことか、どうしてくれるのか、
あなた「も」ひどい人だ、
みたいな話になりやすいです。

歯科の治療は確かにミクロン単位ですが
結局人がすることですので
その後に生体が適応してくれる部分が
大きいです。
症状がなくなるまで
時間がかかることもありますが
生体の適応能力は
極めて高いものです。

しかしそれが待てない
根底には不安感があり
先の見えない状況でも
何となく楽観視して待つという
以前書いた
「ネガティブ・ケイパビリティ―」が
不足しています。

こうなりやすいのは
例えば前の先生をすごく信用していたのに
トラブルになってしまったとか、

親御さんなどが
口腔がんで亡くなったり、
亡くなりかけたとか、

それから、
トラブルになる前に
治療した先生が
実は親だったり、
親しい親戚、
つまり根本的に信頼していた人だったりすると
さらに厄介なことになりやすいです。

お気の毒ながら、そのような方が
まれにいらっしゃいます。

私も気を付けないと
その対応で感情的になってしまいそうに
なることもあり
まだまだ修行が必要そうです。











 
2022年02月27日 19:33

認知について(fear-avoidance model)

腰痛などが長引く場合
心理的要因として
恐怖ー回避モデル(fear-avoidance model)が
形成されていることがあります。

腰の痛みなどを経験した後に、

ネットなどで脅迫的な情報を集めてしまったり
ネガティブな感情を持つことにより
悲観的な解釈をしてしまい

痛みへの不安、恐れがさらに強くなり

過剰な警戒、運動の回避につながり

結局、身体機能の萎縮
うつ傾向などが生じ

体力的・精神的に
さらに状況が悪化します。

そこでその状況を打破しようと
動いてみても

低下した体力、悪化した精神状態により
再び痛みなどさらに強い不快体験をしてしまい

やっぱり駄目だったと

やればまたひどい目に合うんじゃないか、と感じ

さらに状況が悪化します。


このモデルは
引きこもりや
歯科恐怖症にも
当てはまります。

よくあるある噛み合わせの問題とか

(皆さんは以下のテストはやらないで下さい)
例えば上下の歯を噛み合わせて
ギューッと噛み締めると
どこか痛い歯、痛くなりそうな歯が
誰でもあると思います。

歯は割れることもあるので
危ないので皆さんはやらないでください。
割れた歯は戻りませんので。

特に神経のない歯がある方

普通の状態でも
いざ思いっきり噛んでみると
痛い場所があったりします。

普段は無意識のうちに
問題のある場所を
避けて食べているのです。

ところが過去の経験で
歯の治療を受けて
その後に痛みなどで大変な思いをした方は

歯科への信用を失っており
治療すれば、また大変な思いをするのではないか
という、恐れ、不安を持っています。

過剰な警戒から
いろいろ試してしまって

ギューッと噛んだ時に
改めて痛い歯など
新たな問題に気づいてしまう

ここの治療をしたら、
こっちが痛くなってしまった、みたいな

(もちろん因果関係がある場合もありますが)

この悪循環を断ち切る方法ですが

どう見てもこの虫歯はトラブルなく
治療できるだろう、と
思われるような
小さな虫歯の治療などから
徐々にはじめて
小さな成功体験を積み重ねていってもらう 

この方法を当院ではよく行います。
(緊急治療があればそちらを優先しますが)

多くの場合、
あの恐怖感は何だったの?というくらいに
なっていただけることが多いです

その他の方法として
認知行動療法といった心理療法、
抗うつ薬の使用などもあるようです。
















 

2022年01月11日 13:49

歯科治療の記憶

ご高齢になって痴呆が進んでしまうと
発語もなくなり、
表情の変化もなくなり
意思疎通ができなくなります。

昔、ご主人が車いすを押して
奥様を連れてくるご夫妻がいらっしゃいました。

その奥様も痴呆が進んでしまって
かぶせ物が取れたり
トラブルの時だけご夫婦でいらっしゃるのですが

やはり意思疎通は全く取れないし
全くしゃべらない状態でした。

治療も可能な範囲での対応になります
無理をしても危険なためです

そんなある日、前歯が取れた、と来られました。
口の中を拝見して、
何とか再装着できるかもしれないと
処置を始めようとしたところ

普段から全く発語のないその奥様が
ごく小さな声で
何か言っていることに気づきました

びっくりして
よくよく耳を澄まして聞いてみると

「はいしゃ、こわい」
とのことでした

その方がいつどのタイミングで痴呆になってしまったのかは
わかりませんが、

ほぼ全部の歯が治療途中でした。
それも途中までですが、かなりいい材料が使われていて
歯医者さんも腕によりをかけて
治療していたのだと思うのですが
治療の途中で何らかの病気で
中断になってしまったのでしょうか

歯科医が腕によりをかけて
これが患者さんのためだと
これがいいのだ、と
信じて行っている治療が

患者さんに恐怖感や苦痛を与えてしまうことも
一般的には、あるわけです。

気を付けないといけないと思いました。
治療が大きくなるほど、
難しい歯を救おうとするほど
そのハードルは高くなりますが

でもそれができる医院だと思っていただいているから
いらしていただいている


以前ある内科の先生に
その歯の治療で麻酔をするかどうか相談しました

「もしかしたらちょっとしみるかもしれないですが」
と話すと

「医者の言う『ちょっと』は、『ちょっと』でないことが多い」
とのことでした。

非常に難しいバランスだと思います。
歯医者が慣れていることでも
当然ながら患者さんが慣れているわけではない

まさか大丈夫だろうと思っていても
予想外の反応が出てしまって
時に患者様に迷惑をかけてしまうこともあります。

だからといって
不安をあおってもいけないし
それこそ
腫れ物に触るようにしていては
いつまでも治療が進みません

こういうバランスをとりながら
大胆かつ繊細に治療を進めて
受け入れてもらえる結果、
予想以上の結果、を出す
そうありたいと思っています。











 
2021年08月15日 18:26

「患者様のご希望」について考える

初診の患者さんが、
何を求めて
この医院にいらしたか

これを知るのに時間がかかることがあります。

歯科治療は
痛くなくて早くてきれいでよく嚙めて
長持ちして体に良い治療
が良い、に決まっているとは思いますが

問題は
どこにどれだけ重点を置くか、になってきます。

どういうことかというと

患者さんによって求めるポイントが微妙に違います。

「良い治療」を求めていらっしゃる、
この点は皆さん同じですが、

たとえば

多少の我慢はするから早くやってくれと
言われることもあれば

時間はかかっても
痛くないように、怖くないように
進めてほしい、といわれることもあります。

このように
はじめから希望がわかれば良いかもしれませんが
難しいと思います。

なぜなら

患者さんは当然
歯科医療関係者ではありませんので
どれくらいが「平均的」なのか
もちろんご存じないですし

やってみなければわからない、
ということが多分にあると思います。

そして歯科医ですら
それぞれ「平均」が違うので

そもそも
この歯科医の治療が
どんななのか、
受けてみなければわからない
ということがあると思います。

そしてさらに言えば

どの部位の歯なのか
どれほどの状態なのかによって

どれほど時間や労力が必要なのか
どれだけ費用がかかるのか
どれだけ治ることが期待できるのか
などが、
いろいろ違ってきます。

そういう
医者、患者の両者が
お互いの様子を見ながら
相談しつつ
治療しつつ

こういうゴールがいいのでは、と
コーディネートして
結果的にいい形にまとめよう、
とするのですから

自分で言うのもなんですが
本当、高度なサービス業だと思います。

サービスを提供するプロと呼ばれる人達は
皆そうなのかもしれませんが。


例えば
当然麻酔してほしいという患者さんと
あまり麻酔しないでとおっしゃる患者さんもいます。

中高年のビジネスマンで
短時間でどんどん治療を進めてほしいという方も
いらっしゃれば

どう見てもそのような、
「どんどん進めてほしいタイプ」に見える方が
よくよく伺ってみると
ほかの患者さんから
「決して痛くしない医院だと聞いてきました」
と、おっしゃることもあって

これはまずいと
一気に方針転換をすることもあります。

このようなコーディネートが
ずれてしまって
いわゆる
ドン引きされてしまうこともあります。
怖くなってしまうのだと思います。
気づいたらすぐ修正しますが

できるだけアンテナを敏感に張っているつもりです。


あと患者様ご自身がが変わることもあります。

はじめは歯科恐怖症のような感じで
こちらも、怖くないように痛くないように
すごく気を使いながらすすめて、
いろいろ治療を経験した結果
「こんな感じなのか」と自信をもってくださり、

もうちょっと早く進めてほしいとか
ここもここもやりたいとか
おっしゃることもあります。

そうすると当初の計画から大きく変わるわけですが
それはいいことと思います。

あと
状況を映像でお見せしながら
治療を進めて
その効果を実感していただくと

他も全部やってほしいと
言っていただけることもあります。

ただ無理していただきたくはありませんので
ご自身のペースで進めていただければ
それに合うコーディネートを
していきたいと思います。






 
2021年06月23日 00:04

混雑しないこと

医療機関を紹介するホームページを
作成している業者さんから
電話がかかってくることがよくあります。

医院のホームページを掲載させてほしい、とか
検索のアクセス数を増やします、とか

申し訳ないのですが
みなさんお断りしています。

それから以前、とある患者様が
この医院に来て
大変気に入ってくれて
「いろいろな口コミサイトに
星5個をつけて投稿しました」とおっしゃったのですが

大変お手数で申し訳なかったのですが
すべての口コミを取り下げていただきました。

正直、あまり目立たないようにしています。

その理由は
あまりたくさんの患者さんを
受け入れきれないからです。

治療時間は1回1時間、
一日5~7人程度の治療です。

そして歯科治療は
いわばすべて、外科処置です。

あってはならないことですが、
一秒の不注意で
痛みを与えてしまったり、
ずれてしまったり
心の揺らぎが
型取りのときの
指の揺らぎとして出かねません。

そうすると治療の精度も下がりかねませんし、
当然ホスピタリティーの質も下がります。

なので
忙しい、バタバタした環境を
作らないことも
自分の責任と感じています。

特にこのコロナ禍で
密にならない環境は
必須と考えます。

それから、
少々のことでは心が動揺しない、
肚を鍛えたい(これは課題です)

大体アポイント表は
治療期間が半年とか1年とかの
患者さんの週一回の治療で
ほぼ埋まっています。

混んでしまって
週一回が二週間に一回になってしまえば
治療期間が倍になってしまいます。
そうやってご迷惑をおかけすることは
なんとしても避けたい

紹介で新患の患者様が時々いらっしゃいますが
ちょうどよいペースです。
ご家族だったり、
何十年来の親友だったり
紹介してくださることが多いです。

ちなみに治療をしている時間は
自分の仕事の半分と考えています。

治療時間中だけ、頑張ればそれでいい、
といったものではなく

残りの半分は
座して個々の患者様の治療計画や、治療の段取りを考えること
と思っています。
歯の状態、顎の関節の状態だけでなく
その患者様のそれまでの歯科での経験や
思い、感覚の鋭敏度などによって
治療の進め方は変わってきます。


以前にも書きましたが
歯医者の仕事は
山のガイドに似ているのかなと
感じています。
時に現実を知ってもらうことも必要になります。
上手に伝えないといけませんし
伝わるのを待つこともあります。

最終目標は高く、
でもそこに至るまでの
様々な困難を
いかにつらくないように
いかに安全に、と考える

医院によっては
あちらこちらの治療台に移動しながら
次々に治療されている先生もいます。
たくさんの患者さんを治療されて
本当に立派だと思いますが

ここはそういう医院ではありません。
治療台数的にも不可能ですし
私的にもあまり得意ではありません。

最近ネットニュースなどで
よく歯科のことが話題になりますが
こんな書き込みがありました。

「いい歯科医院を知っているが
本当に親しい人にしか教えない。
混んでしまうから」

できるだけ、たくさんの患者さんに良い治療をしたい、
という思いはあるのですが・・

なかなか難しい問題ですが
陰ながら、丁寧に
支え続ける医院でありたいと思っています。

親しい人で歯で困っている方がいらしたら
ご紹介いただければ
じっくり相談させていただいて
ベストな方法を
提案させていただきたいと思います。

 
2021年01月08日 11:04

麻酔と心拍

いかに麻酔をつらくないようにするか、は
気をつかうところです。

通常の麻酔の場合、
初めに表面麻酔を塗って
それが効いてきてから麻酔の注射を少しして
それが効いてきたら
さらに追加をしてゆきます。

そのようにやると
ほぼ問題ないようです。

しかしながら一般的な歯科用麻酔薬には
効果時間を延ばすための「血管収縮薬」が入っていて
そのpHが低いために
注入の瞬間、微妙に痛むことがあります。

血管収縮薬の入っていない麻酔薬を使うこともありますが、
作用時間が短いです。

その微妙に痛みを生ずる原因の血管収縮薬には
それ以外に、わずかですが、
心臓をドキドキさせるような副作用もあります。

そのため、心臓などに重度の基礎疾患がある方など
かなり気をつかうのですが、
健康人の場合、まず体に影響することはありません。

しかしただでさえ恐怖感を感じている状態で
心臓がドキドキしてしまうといけませんので
麻酔をするときの注入の速度を調整しています。

歯科医が麻酔するときに
患者さんの口角のところに指をかけている理由の一つは
上下唇動脈という血管の拍動から
患者さんの心拍の変動を感じとり
麻酔針の位置や注射の速度を微妙に調節し
ドキドキする不快感を
各患者様が不快でないと思う
許容範囲におさえようとしているためです。

見た目にはわかりにくい
ちょっとした違いですが
歯科医院におけるサービスとか
ホスピタリティーの差というのは
そういう部分なんじゃないかと
考えています。


 
2020年09月22日 17:29

「検診のこと」

治療後は数ヶ月に1回の定期検診を
お勧めしているのですが
この「数ヶ月」はいつも
あっという間に過ぎてしまいます。

6ヶ月おきの方も多いのですが
検診が2回あったら年が明けている
(当たり前ですが)
時の経つのは本当に早いですね。

ちなみに
毎日会っている家族や同僚とかと違って
数ヶ月に一度だと
患者さんの変化に気づきやすいです。

「あれ、急に痩せたな」とか
「歩きかたがちょっとおかしい」とか
顔色や表情とか…

患者さんが気づいていない
ごく初期段階の病気に気づく事もあります。

もちろん詳しくはわかりませんが

今までに患者さん自身より先に異変に気づいたのは
ガンとかパーキンソン病、あとアルツハイマー病など
でした。

そして私はそれが気になった時には
その事を患者さんに言うようにしています。
初期に対応すれば
進行を抑制できる事もあるからです。

でもしかられてしまう事もあります。
「健診したばっかりですよ」とか。

昔、ある方の歩く様子がちょっと気になったので
「糖尿の検査してますか」と聞いたとき
検査したばっかりだ、と
ちょっとムッとされてしまったのですが
その後膵臓ガンとわかった事がありました。

時に顰蹙を買ってまで
なぜわざわざ言うのかというと…

それは過去に、
言わなかった為に何度も後悔しているからです。

気づいているのに
「そこまで言う事もないか」とか
「ま、大丈夫だろう」とか
「気のせいだろう」
と言う姿勢でいることで
取り返しのつかない事になったりします。

あのとき顰蹙を覚悟でちょっと言ってあげれば
事態は変わったかもしれない
自分のもともとの消極的な性格が
災いした、取り返しのつかない状況…

ガンもパーキンソンもアルツハイマーも
進行してしまえば
不治の病です。
どんなに努力しても
どんなにお金をかけても
治らないわけです。

歯の健康は
言ってみれば「買える健康」です。
天然の歯に勝るものはありませんが
まあもし歯を失っても
入れ歯やインプラントで
日常生活に差し障りのないレベルの
機能回復は出来ます。

しかし世の中にはまだまだ
治らない病気があります。
病気が進行してしまった人にとっては
健康はもはやお金では買えないもの
になります。

ちょっとでも異変に気づいたなら
大げさなくらいでいいと思います。

以前とある患者さんが
歯を治療して欲しいと来院されました。
その方は昔からこの医院に検診に通ってらして
私が「ここを治療した方がいいのでは」と
言っていた歯があったのですが
ずっと治療しないままでいました。

その方がある日、治療して欲しい、と来院されたのです。
お話によると白血病を患って
入院生活の後、
なんとか治癒して生還されたとの事。

私が治療をお勧めしていた歯について
「どうして治療しようと思わなかったんだろう?」と
おっしゃってました。

私もちょっと考えましたが
もしかしたら
生死の境から生還されたことで、
お金とちょっとの努力で手に入る健康もあるのか、
という事に気づかれたのかもしれません

歯の健康は残りの人生の
すべての瞬間に関わる部分だと思います。

コミュニケーション、美味しく食べる事
その人の最後の瞬間まで
尊厳を守るものかと

元気なうちに治療なさるのは
とても良い事かと思われます。
2015年03月13日 00:00

モバイルサイト

医療法人 入江歯科医院スマホサイトQRコード

スマートフォンからのアクセスはこちら

院長の私的ブログ 日々雑感
ブログ一覧