シリコン印象の話
クラウンなどの型取りをする時、最近は3Dカメラを使うことも多いですが、
昔ながらのシリコン印象材という材料も
まだまだ使います。
虫歯が歯肉よりも下に進んでしまった場合
歯肉縁下、という言い方をしますが
この場合、まだ3Dカメラでは
うまく撮影できません。
そういう場合は
以前からあるシリコン印象材を使うわけですが
ただシリコン印象材は職人技で
超集中で一発勝負で決める必要があり
慣れてない人はなかなか
上手くいかず、
苦労したりします。
マウスピース矯正の
インビザラインは
今は3Dカメラですが
昔はシリコン印象で
それに慣れていない矯正専門の先生方は
ものすごい苦労して
型取りをしていたものです。
私は慣れていますので
大抵、一発で決めますが
(全部ではないですが)
こういう、歯科の治療には
超集中して、一発で決める、
みたいな状況が
まだ時々あります。
集中するときに
目が近くなって
姿勢が悪くなると
失敗しやすくなります。
全体が見えなくなるからです。
私が昔、憧れていた
世界的に有名な
日本人歯科医がいて
その人は1ドル360円時代に
アメリカに留学して
フロリダ大学の教授にまでなって
全米の大学で使われるような教科書を書いて
学生達が選ぶ最優秀教授賞までとって
そういうすごい人ですが
診療室でブリッジを作るために
きれいな歯を削らなければならないような時には
まず神棚に手を合わせてから
始めるという話を聞き
生命に対する畏敬の念や、
医療に対する真摯さを持ち続ける
やはりすごい人なんだなと思ったものです。
ずいぶん昔のことですが
当時のスタッフに
その話をしたら
それぐらいしなきゃ、
と言われたのは
いい思い出です。