平均寿命、健康寿命
日本人の平均寿命は男性82歳、女性が88歳です。
医療へのアクセスが良く
健康志向の方が多い地域では
男女問わず
90近くでも元気、という方々が
多くいらっしゃいます。
一方で日本の平均
「健康寿命」は
男性72歳、女性75歳とされています。
その年齢以降は
日常生活に支障となる何らかの健康問題を
抱えるわけです。
当院にも
お気の毒なことに
ご高齢で、歯も良い状態でなく
お口を拝見すると
「これは噛めないな」と思うような
方が時々受診されます。
そういう方の
「歯列全体」を治療して
しっかり噛めるように、
しっかりしゃべれるように
して差し上げると、失礼な話ながら
「この人こんなにしっかりした人だったの?」
と思うくらい元気になり
びっくりすることが
非常に良くあります。
姿勢や表情や判断力などの性格まで
10年、15年くらい若返ったんじゃないかな
と思うくらい
生物にとって歯がいかに重要なものか
実感します。
そういう方々は
もともと歯医者に行っていなかった、のではなく
歯医者には通っていたが
もうご高齢だからと
抜本的な改善をせず
「とりあえずの」治療を繰り返していた
そういう方が多いように思います。
歯科医側も遠慮していたのかもしれません。
でも私は
歯科医側が勝手に遠慮するのは
良くないと思います。
その「とりあえず」では解決しなかった
抜本的な噛み合わせの改善が
残りの人生の質も、長ささえも左右するほどの
重要な問題に
なることがあるからです。
患者様にとって歯科医はプロフェッショナルです。
プロに「やめときましょうか」と言われたら
患者様は「そうか、そういうものなのか」と
思ってしまうかもしれません。
患者様は根本的な歯科治療の先に
驚くような生活の質の改善の可能性があるなど
知る由もないのです。
ご高齢になってしまうと
治療ができる健康状態なのか、
という問題もあります。
全体の治療には半年とか1年とか時間もかかります。
通う体力も必要でしょう。
もちろん患者様のご希望もあります。
ちゃんと噛めず
体力も低下したご高齢の患者様がいらしたとき
大変失礼な話ですが
「はたして間に合うか」
と思うことがあります。
時間的にも
その方のお気持ちの問題も含めてです。
歯科医が勝手に遠慮することなく提案し
健康寿命を延ばして
平均寿命との差を縮めるのも
歯科の役割と考えています。
2021年12月13日 12:00