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人(開業物語その4)

若い歯科医師が開業して
一番苦労する問題が
人、の問題と
よく言われます。

求人とか、スタッフとの関係とか

若いうちは自信過剰になっていることが多く
開業して経験不足の自分の実力を知り
患者に選ばれた者か、資金力のある者だけが生き残る
開業医の世界の厳しさを知り

いい医療を追求したい理想がある一方で
開業後の返済、家賃、人件費などの支払いに追われ
さらに家族の生活費とかで悩んだりして

さらに若い歯科医が思う「いい医療」が
patient oriented(患者中心、患者志向)でなくて
患者さんがついて来てくれなかったりして

そういう中で
時にはイライラしたり
スタッフのミスにきつく当たってしまったり
逆に仲良くし過ぎて収集がつかなくなったり
若さゆえの事象が
スタッフとの軋轢を生んで

意外に良く聞くのが
スタッフが一斉に退職してしまうという現象
実は多くの開業歯科医が
これを経験しています。

私の友人が若い開業医によく言っていたのは
誰でも経験するんだから
早いほうがいい、とか

私の場合は開業直前でした。

私は外部から、とある医療法人の
この広尾分院に分院長として入り

この広尾分院が
医療法人本体から切り離されることは
元からいるスタッフたちは知っているようでした。

私も若くてとがっていて
理想を語るわりには経験不足で実力が伴わず
法人から切り離されることがわかっているスタッフたちと関係で
はじめは良かったのですが、次第にいろいろなことでもめて
だいぶ嫌な思いもしましたし
私もさせたのだと思います。

私の開業が迫ってきた3-4か月前でしょうか
ミーティングの場で
私はスタッフたちに話しかけました。

「これからのことについて相談したいと思います」

するとスタッフの中で中心的存在だった一人がきっぱり言いました。

「私たちは先生についていくつもりはありません。」

驚きましたが
うすうす思っていたことでもあり

私が
「そうか。」
「でもこの引継ぎのゴタゴタで
患者さんにだけは、迷惑をかけないようにしよう」
と言うと

スタッフが皆コクリ、とうなずきました。

私はそれを見て
「いい人たちなんだよな」と
思ったのでした。


若くして開業した歯科医の多くは
結局一人ぼっちになってしまうわけですが

一人取り残された診療室で、

一人きりになっても全部やって見せる
という覚悟を決めて初めて
一つ目のハードルを越えるのではないかと
思っています。







 
2024年09月02日 19:26

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