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中と外 ~インプラント表面性状の進化~

体の中と外の境界には
バリアがあります。

皮膚や粘膜
粘膜は皮膚くらべてバリア機能が弱いために
それを補完する様々な機構があり

口腔粘膜の場合
唾液やそれを物理的に維持する口唇
唾液中に含まれる抗菌性物質や
実は口腔内細菌叢も実はバリア機能の一部です。

歯はその粘膜から硬組織が突出している
特殊な器官であり

歯のまわりの
歯と粘膜の境目にも
バリア機構があり

専門的には
「生物学的幅径」と言います。

なぜこの話をするかというと

実はインプラントにも
この「生物学的幅径」の代わりになるものがあることが
知られており

この部分を治療時に適切に作るかどうかで
長期予後が変わってくることが
わかっています。

手技的には埋入深さの
ほんの1ミリとか2ミリとかの深さの違いなのですが
やるかどうかで
将来的な予後が違ってきます。

このコンセプトが確立したのが
2017年

もし炎症などでこのバリア機構が破壊されて
インプラント表面に細菌感染が起きた場合

以前のインプラントでは
骨吸収が急速に進行して
インプラントが失われることが多かったですが、

今のものは表面性状が進化していて
露出しても感染が起きにくくなっています。

露出時の対感染性の表面性状が確立されたのが
2005年

それらコンセプトが学術的に確立しても
企業が製品にそれを導入したり
歯科医が臨床に導入するまでに
タイムラグがあったりしますが

結局、何が言いたいかと言いますと

インプラントは「昔のもの」と比べて
確実に進化しており

最近になって
ブリッジよりもインプラントが
第一選択になって来たのは
それ相応の理由があるのです。

今の進化は
先人たちの努力の結晶なわけですが

当院でもインプラント治療が増えてきているのは
昔と大きく変わって
良くなっているからこそであると言えます。




 
2025年12月10日 07:11