~かけがえのない歯を大切にする治療、価値ある治療結果、そしてつらくない治療をめざしています~

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日々雑感

「便利であること」

今はインターネット経由で世界中から物を買って
カードで支払ったりできるわけですが

こういうものすごい便利な世の中で
ちょっとアナログな事をしようとすると
えらい大変だったりしますね。
ネットで数秒で終わるようなことが
あっちこっち行ったり、何日もかかったり。

先日、うちの子がコペンハーゲンの空港の手荷物検査で
ナップサックを忘れて、デンマーク警察の遺失物係に
送金したことがあるのですが、
デンマーククローネで何クローネをこの銀行のこの口座にとか・・・

日本の銀行から円でさっと送れるかと思ったら
まだまだ、そういうところはダメなんですね。
こういうところは、シンガポールとか香港の方が
進んでるんでしょうかね。

金融機関の人も良くわからなかったりして
送金手数料もだいぶ高いですし、
送金先の銀行でも管理料を取られるかもしれないので
相手先に送った金額が届くかわからん(なんだそれ?)
みたいな

米ドルなら送れるとのことでしたが
米ドルとデンマーククローネのレートなどは
自分で調べなくちゃいけなくて
家に帰ってきて調べてまた行って
やっと書類を書き始めたら何とかNo.が必要です、とか・・・
時差もあるので後日相手先に確認して書き込んで再び出直す始末。

やっと受理されたかと思ったのですが
1週間後に電話がかかってきて、書類を修正してくれとのこと。
まだ日本にいたのかい!と思いましたが。

まあおかげさまで
ナップサックは1か月後にようやく帰ってきまして
子供のニンテンドーDSとポケモンソフトも帰ってきました。

ちなみにデンマークの警察の人も
「ポケモン」と言ってました。
世界共通語ですね。


情報技術の進歩で買い物もコミュニケーションにおける
距離の影響もえらく変わりました。
直観的なインターフェイスの下にある
極めて高度な技術
ちょっとしたほころびは
生活上の大きな支障につながる、
今日の社会の弱点かもしれませんね。
2012年11月11日 00:00

「ある一節」

今日は休みだったので
部屋の片づけなどしていました。

本など整理整頓、
つい読んでしまうわけですが

始めはがん治療の世界的権威といわれている
日本人医師たちの手記など・・・

そのあと、ふとある一節を思い出して
いろいろな本をひらひらめくって探しました。

そして、ありました。
「3章 何によって憶えられたいか」
  P.F.ドラッカーの「プロフェッショナルの条件」です。

「自らの成長のためにもっとも優先すべきは、
卓越性の追求である。そこから充実と自信が生まれる。
能力は、仕事の質を変えるだけでなく、人間そのもの
を変えるがゆえに、重要な意味を持つ。」

その後、こんな一節が

何年か前に、かかりつけの腕のいい歯医者に聞いたことがある。
「あなたは、何によって憶えられたいか」
答えは
「あなたを死体解剖する医者が、
この人は一流の歯医者にかかっていたと
いってくれること」だった。


つまりは

健康的で、
バランスがよく
筋肉や関節に完全に調和した
安定したかみ合わせや、

天然の歯や機能に
完全にそして長期間調和し
かみ合わせを支え続けた、かぶせもの。

そして炎症や病的状態がないこと。

といったことでしょう。

歯科医としての責任の範囲の仕事を
きちっとこなして

生前のその人の快適な食生活や
コミュニケーションや
パワーを支え続けた
そういう歯科治療


歯科医にとって実は決して
簡単なことではないのですが
その実現によって

「充実と自信」を実現したいものです。
2012年04月19日 00:00

「北極圏に行ってきました」

北欧の北極圏最大といわれる都市に
歯学部を持つ大学があり、
行く機会がありました。

日本に比べるととても物価が高くて
2倍以上でしょうか。

税率も極めて高いのですが
その代わりに公共サービスが極めて充実しています。

あの雪と氷と気候ですから
インフラとその管理が相当充実していないと
たちまち村々は孤立化して
生命にかかわる危機に瀕するでしょう。
当然払うだけの理由がある、
ということでしょうか。

でも治安が良くて
人々が親切なことにも驚きました。

今回の旅ではあまりにいろんなことがありました。

荷物のことで地元の警察に世話になり
(自分の不注意ですが)
北極圏の風雪の中、スーツケースをひいて歩いて
地元の言葉でその名称がよくわからずに
さんざん雪道を歩いて別のホスピスを訪れてしまったり
その上ATMがなぜか使えず
たまたま自分の番でセルフチェックイン機が故障して、
オスロ空港でエレベータが故障して閉じ込められ
やっと乗った成田行きではオーバーブッキング・・・

ある意味ずいぶん勉強になりましたが。


それからなんと念願のオーロラも見ました。


人里離れた雪原で2~3時間くらい待っていると
現れました。

光る雲のようなものかと想像していたのですが
そんなのんびりしたものではなく

光る砂を空からまいたように
ふわーっと落ちてきたり
カーテンのように揺れてパッと消えたり
光の筋のような直線になったり
まさに変幻自在で
空一面に見ることができました。

晴天率の低い地域なので
とてもラッキーだったようです。
2012年03月31日 00:00

「歯科の医療と費用」

前回の続きを書きます。

以前スウェーデンに研修に行ったときに
ちょうど留学していた日本人歯科医と3~4時間話す機会がありました。

もっぱら、医療制度の違いについてとか。

その先生が大物であることは
前評判で知っていましたが
歯科医としての能力だけでなく
極めて柔軟な思考力や
政治力や大局観まであって
私も「これは大した人だぞ」と思いました。

その先生が言ってました。
「日本の保険制度はうまくやっている。
あの細かくてうるさい日本人を
不満が噴出しないレベルで
なんとか満足させている。」

保険制度は全国一律、全世代一律の治療内容ですから
その内容で満足する人と満足できない人が出てきます。
その線引きが絶妙ということです。

その線を境に一方の人々は満足している。
もう一方の人々は満足していない。
予算は無尽蔵ではありませんから
満足できない人たちが騒ぎださない程度に
その一線を設定している、ということです。

では保険制度に満足していない人とは
どういう人たちでしょうか。
私の経験上、

やたらに虫歯が再発する人
かみ合わせの強さ(歯ぎしりなど)でやたらに歯が壊れる人
それらの理由により頻繁に歯医者通いしなければいけない人
見た目を重視する人

こういった方々の歯科治療には方法的にも材料学的にも
相当な配慮が必要です。
だめになったらやり直せばいい、という考え方もありますが、
治療するたびに歯は減ってゆきます。
一生涯のうちにいかに治療回数を少なくできるか、が
勝負です。

上にあげたような方々が
歯医者通いにかける時間的、
繰り返し治療による医療費、
結果的に歯を失うことによる健康面での
ロスがいかに大きなものか。

逆に、
めったに虫歯にならない人
咬む力があまり強くない、歯ぎしりなどのない人
見た目にこだわらない人
これらの人々は健康保険による歯科治療でも
相応の結果を期待できるでしょう。

私は歯で苦労している人たちに
「治療時には費用がかかったが
長い目で見ると結果的には安かった。」
ずっと時間がたってからそう思っていただけるような
治療を提供してゆきたいと思っています。
2012年02月06日 00:00

「医療の質、アクセス、そしてコスト」

医療レベルの高い国として挙げられるのが
主にアメリカとスウェーデンです。

医療費を考慮せずに
とにかくいい治療をしようと考える国と
国の経済を考慮して適正な医療費で
最善の治療をしようとする国、
どちらも正解ですね。

その国の医療レベルを評価するに当たり、
次の3点が考慮されるそうです。

質、アクセスそしてコストです。

アメリカで問題になるのは
コストですね。

驚いたことに
個人破産の原因の半分があまりに高額な
医療費だそうです。

盲腸で1日入院で約200万円、
入院1日につき約100万円とか・・・

スウェーデンはアクセス(受診しやすさ)
に問題があるらしいですね。

2007年時点で
診療を受けられずに
待機している患者が25万人
(人口は900万人)、そのうち
90日以上待たされている人が
5万7千人ということです。

公務員による競争のない医療での
サービスの非効率・硬直化が
大きな問題となっているようです。


日本の医療レベルもかなり高いとされていますね。
WHOは2000年に日本を世界一と評価しています。

乳児死亡率や周産期死亡率の低さ、平均寿命、
急性心筋梗塞院内致命率の低さ、諸々の指標も
世界トップレベルです。

そして対GDP比医療費の低さも
先進国でトップレベル。
CT,MRIなどの機器の設置率も
世界でダントツです。

日本の健康保険制度は大きな視点で見ると
今のところうまくいっている
言えるでしょう。
(債務残高対GDP比で200%の国ですが・・・)

ただし個々のレベルで見ていくと
厳しくなってますね。

各種の先進医療が健康保険でカバーできなくなるのは
時間の問題と思われます。


先ほどの「質、アクセス、コスト」の3点から考えると
今後の健康保険制度からは

高度な治療が外されて保険外になる(質の低下)

受診抑制がかかる。
大病院での初診抑制はすでに始まってますね。
先に電話やインターネットでの相談ののち、
許可を受けた患者のみ受診できる(アクセスの低下)

自己負担割合が増えたり、消費税増税などにより
カバーされる(コストの上昇)

といったことが起こるでしょうね。


ちなみに歯科はすでにだいぶカバーできない範囲がありますね。

福祉国家のスウェーデンでも
歯科については自己負担の割合が
極めて高く設定されているそうです。

歯が長持ちするとか
よく噛めるとか、見た目がきれいとか
そういう点に
費用をかけるかどうかは
それぞれの患者さんの判断に任されるように
なってきているのは
世界的な傾向のようですね。


今年も最後に
小難しい話で失礼しました。

では皆様、
本年もありがとうございました。
よいお年をお迎えください。
2011年12月30日 00:00

「またオーロラ」

最近気になっているのは
オーロラです。
(以前書きましたが「オーロラ」復活です)

アラスカか、北欧か
悩みどころですね。

以前スウェーデンに研修に行きましたが
北欧なら歯科を訪ねてもいいかも。

私はもともと旅好きなのですが
こういう下調べがいいですね。

ノルウェー沿岸を船で北上して
北極圏に入ると、船から見られるかもしれない
ということですが

個人手配すると
アクセスが問題ですね。
港についてから次の交通機関の乗り場まで
冬の北極圏ですから
地方のローカル交通は冬季閉鎖とか、休業とか

以前、蔵王の山でゴーグルが飛ぶほどの吹雪で
視界ゼロの経験をしたことがあって
あんなことになったら大変。

自分ひとりならいいんですが
家族とだと無理は禁物ですね。

こういう調べ物は
時間がすぐたってしまうので
要注意です。
2011年11月02日 00:00

「募集のご案内」

長く勤めてくれた衛生士さんが退職することになりまして
衛生士さんを募集することになりました。

ここは小さな診療室で
若いスタッフ同士の「出会い」はまず期待できませんが
1人1人の患者さんを大事に
診療の初めから見送りまで
しっかりフォローすることかできます。

自費診療がメインの診療室ですが
ブランクのある方も丁寧に指導いたします。

何より患者さんに親切にしてくれる方を求めています。
院長には多少きびしくてもかまいませんが(?)

詳しくはホームページを御覧ください。

(募集は締め切りました。ご協力ありがとうございました。)
2011年10月15日 00:00

「麻酔の日」

今日10月13日は「麻酔の日」とのことです。

歯の治療にもなくてはならない麻酔ですが、その完成までには過去の偉人たちの大変な努力があったようですね。大学の時に麻酔の発見者について少し習いましたが、どうもはっきりしないので、ちょっと調べてみました。

しかしずいぶんヘビーな話です。

どうやら1804年10月13日に華岡青洲が世界で初めて全身麻酔下で乳がん摘出術に成功したとのこと。この「通仙散」の開発までには彼の母と妻の献身的な協力があり、恐るべきことにその影響で彼の母は亡くなり、妻は失明してしまったとのことでした。

その40年後、歯科医師のホレス・ウェルズが笑気麻酔下で自分の歯を助手に抜歯させて笑気麻酔を発見。マサチューセッツ総合病院で公開実験をするも失敗し、彼は失った信用を取り戻そうと自分を実験台にして研究を繰り返した結果、その副作用によって傷害事件を起こし、獄中で自らの命を絶ってしまいます。パリの医学協会から全身麻酔の発見者として彼を認めた手紙が着いたのはその直後だったそうです。

ウェルズの公開実験の1年後、化学者チャールズ・ジャクソンにアドバイスをうけた歯科医師ウイリアム・モートンがエーテルでの公開実験に成功するも、その後ジャクソンとモートンで争いとなりモートンは経済的に破たんしたのちに卒中を起こして亡くなり、ジャクソンは発狂して7年後に精神病院で死亡したとのこと。

で、実はその4年前から外科医のクロフォード・ロングが外科手術にエーテルを使用していたとのことでした。

なかなか複雑です。


私たちはふだんは全身麻酔を使っているわけではありませんが、麻酔の歴史に二人の歯科医師がかかわっていることが、いかに昔から無痛的な治療を歯科医師が望んでいたかがわかります。

局所麻酔の薬も発展しましたが、まだ私たちは日々の臨床で、薬の効果だけに期待していては十分な麻酔効果を得ることはできず、そこには多くの技術的なポイントがあります。

薬も技術ももっと向上して、患者さんが全くつらい思いをせずに、きちっと治せる時代は
私たちの夢でもあります。
2011年10月13日 00:00

「また行ってきました」

今月の連休+2日ほどお休みをいただいて
またロサンゼルスに行ってました。

今回は見学ではなく
インプラント関連の研修と
審美歯科関連の研修。

今や日本の治療レベルも相当に高く
情報もすばやく、手に入る時代なのですが
わざわざ行ってこそ、わかることもあります。

最終日は時間があったので
お土産にチーズケーキを買って帰ろうと
お店まで行ったのですが
常温は無理とのことで諦め、
ぶらぶらしてバスを乗り継いで
飛行場まで行きました。

あちらのバスは危なっかしくて
車内で喧嘩が始まったり、
空港周辺は危ない地域だったりするので
慣れない私としては
けっこう緊張しましたが。

行き先表示を見るのに一生懸命で
座席の背もたれに手を置いていて
黒人のおばさんに怒られたりしたのですが

そのおばさんが
あんたどこまで行くのさ、とか
次は何とか通りだからまだよ、とか
遠すぎるから座りなさいよ、とか

別のバスでもやっぱり黒人の
おばあさんに世話になって
「その人ハワイ人みたいだから
シャトルまで行くわよ」などなど

皆、お礼を言うと気持ちのいい笑顔を
返してくれました。

治安には気を付けるに越したことは
ないのかも知れませんが

貧しさはあっても
いかにも下町らしい
血の気の多さと
おせっかいなほどの親切を
感じた旅でした。
2011年09月27日 00:00

「帰ってきました」

1週間ほどロサンゼルスに行っておりました。
日本の暑さとは違う、からっとした感じ。
いいものですね。

あちらの専門医や技工所など、
何軒か訪れるチャンスがありましたので
いろいろ見てきました。
相変わらず怪しい英語で押し通しましたが

治療の技術的な話になると
あちらのDr.も熱くなります。
ちょっとした器具の扱い、
治療時の患者さんへの配慮、
やっぱり、プロ同志というのはいいもんだな、と
思いました。

で、やはり大したものです。
使っている材料は日本と変わりません。
では何が違うか?

総合的な治療計画のレベルが高い。
見た目のコンプレックスを抱えていたり、
咬めない歯列を受け入れている人の問題を
がらりと解決する、治療計画。

私の医院でも同様の治療は行っていますが
あちらは遠慮がないというか
まあビバリーヒルズですから・・・

費用はかかると思いますね。
でも見た目がコミュニケーションに与える影響や
よく噛める歯が健康に与える影響、
それらの効果性を
その費用以上に重視する人には
いいと思います。

あちらは訴訟大国でもあるので
そういった中で確立されたシステムというのも
勉強になることも多い。

かぶせ物や詰め物は人工物です。
壊れることがあります。
天然の歯でも壊れます。
(天然の歯が壊れても歯科医に
文句を言う人はいませんが・・・)

患者さんとのトラブルがないか質問すると
ある専門医はこう言いました。

「かぶせ物が壊れたりするようなトラブルはある。
でも患者さんとのトラブルは
「コミュニケーションのトラブル」だろ・・・」


びっくりした上に、考えさせられました。
確かにそうかもしれませんね。
2011年07月15日 00:00