今日10月13日は「麻酔の日」とのことです。
歯の治療にもなくてはならない麻酔ですが、その完成までには過去の偉人たちの大変な努力があったようですね。大学の時に麻酔の発見者について少し習いましたが、どうもはっきりしないので、ちょっと調べてみました。
しかしずいぶんヘビーな話です。
どうやら1804年10月13日に華岡青洲が世界で初めて全身麻酔下で乳がん摘出術に成功したとのこと。この「通仙散」の開発までには彼の母と妻の献身的な協力があり、恐るべきことにその影響で彼の母は亡くなり、妻は失明してしまったとのことでした。
その40年後、歯科医師のホレス・ウェルズが笑気麻酔下で自分の歯を助手に抜歯させて笑気麻酔を発見。マサチューセッツ総合病院で公開実験をするも失敗し、彼は失った信用を取り戻そうと自分を実験台にして研究を繰り返した結果、その副作用によって傷害事件を起こし、獄中で自らの命を絶ってしまいます。パリの医学協会から全身麻酔の発見者として彼を認めた手紙が着いたのはその直後だったそうです。
ウェルズの公開実験の1年後、化学者チャールズ・ジャクソンにアドバイスをうけた歯科医師ウイリアム・モートンがエーテルでの公開実験に成功するも、その後ジャクソンとモートンで争いとなりモートンは経済的に破たんしたのちに卒中を起こして亡くなり、ジャクソンは発狂して7年後に精神病院で死亡したとのこと。
で、実はその4年前から外科医のクロフォード・ロングが外科手術にエーテルを使用していたとのことでした。
なかなか複雑です。
私たちはふだんは全身麻酔を使っているわけではありませんが、麻酔の歴史に二人の歯科医師がかかわっていることが、いかに昔から無痛的な治療を歯科医師が望んでいたかがわかります。
局所麻酔の薬も発展しましたが、まだ私たちは日々の臨床で、薬の効果だけに期待していては十分な麻酔効果を得ることはできず、そこには多くの技術的なポイントがあります。
薬も技術ももっと向上して、患者さんが全くつらい思いをせずに、きちっと治せる時代は
私たちの夢でもあります。
2011年10月13日 00:00