~かけがえのない歯を大切にする治療、価値ある治療結果、そしてつらくない治療をめざしています~

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日々雑感

歯が原因でない痛み

患者さんが歯が痛いと訴えて来院された場合でも
原因は歯の場合と、歯でない場合があります。

歯の痛みのように感じる
歯が原因でない痛みを
「非歯原性歯痛」
といいます。

患者さんはまるで歯が痛いように感じるので
「歯を治してほしい」と来院されるのですが
注意が必要です。

残念ながら
非歯原性歯痛にたいして
歯の治療をしてしまう事例が
報告されています。

たとえば
悪くない歯を削ってしまったり
神経を取ったり
抜歯になってさえも
痛みが取れない事例

この非歯原性歯痛は
臨床で比較的高頻度に見られます。

原因は
筋肉の痛みだったり
神経線維の傷だったり
痛覚の変調とか
三叉神経痛
上顎洞炎
脳腫瘍などのこともあります。

患者さんは抜けば治るのではないかと
抜歯を希望され
抜歯をしたのに
痛みが取れない、
ということが起こりうるのです。

そのため私たち歯科医は
「これは非歯原性歯痛では」
と思ったときに
安易に削ったり、ましてや抜いたり
しないようにしなければいけません。
しても治らないのですから

痛みに耐えている患者さんには
時間がかかってしまって大変申し訳ないのですが
遠回りになるようでも
ちゃんと評価して
非歯原性歯痛の原因に対する
治療を行うことで
歯を守る必要があります。
 
2022年12月19日 06:32

剣禅話

最近読んだ本は

幕末から維新後まで活躍し、
幕末三舟(勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟)
の一人

山岡鉄舟氏の
「剣禅話」

幕府講武所の師範から
徳川慶喜の使者として
西郷隆盛と江戸城の
無血開城のために談判し
維新後は明治天皇の侍従を務めた

「無刀流」剣術の開祖。

無刀流剣術とは
1,勝負を争わず
  心を澄まし肝を練り
  自然の勝ちを得る
2,事理の二つを修行する
  事は技なり、理は心なり
  事理一致の場に至る
  これを妙処となす
3,心の外に刀なきなり
  敵と相対するとき
  刀に依らずして
  心を以って心を打つ
  これを無刀という

以前ブログに書いた
「7つの習慣」にも
「刃を研ぐ」という話がありましたが

やさしさにも
強さにも

心の切れ味を
保てたらいいなあと
思います。


 
2022年06月14日 22:54

医者の「ちょっと」

自分が昔
口腔外科にいたころ

残念なことに
この処置は痛くて当たりまえ
みたいな考えがありました。

顎骨骨折のシーネ巻とか
手術後の抜糸、とか

口腔外科でなくてもあります。
下の奥歯の急性歯髄炎の治療とか

患者さんの立場からして
心配なのは
自分がこれから受ける処置は
どうなのか、ということだと思います。

これは歯科に限らず
何科でもあることだと思うのですが

というか、
医科のほうが多いかもしれません。

以前内科の先生に
「ちょっとしみる可能性がある」と言ったら

「医者の言う”ちょっと痛い”は
ちょっとじゃないことが多いので、
麻酔してください」とのことでした。

かつては伝統的に
痛いのはしょうがない、
みたいな認識があったわけですが

今思うと
バタバタと忙しい
大学病院の診療室だから
できなかっただけで

例えば抜糸とか
肉眼でやろうとするから
引っ張らなければいけないのであって

マイクロスコープを使って
0.3mmの糸を
10倍に拡大して切れば

ほとんど引っ張らなくてもいいし
痛くなくできます。
(状況にもよるかもしれませんが)

急性歯髄炎の治療にも
様々な工夫があります。

高杉晋作氏の言葉で
「おもしろきこともなき世を
おもしろく」

というのがあるようですが、

当院では
様々な工夫で

「痛い治療も
痛くなく」

でありたいと思っています。
2022年06月14日 10:33

匙加減(さじかげん)

歯は体を支えています。

治療でかぶせ物をするために
歯を削ったり

入れ歯の噛み合わせを修正したりすると

急に患者さんの身体が傾いたり
逆に姿勢が直ったり
という経験を
多くの歯科医がしていると思います。

しっかりとした奥歯が
しっかりとその人の身体を支えるなら
問題はないのですが

問題となるのは
その歯が過去に虫歯や炎症などで
治療を繰り返していて
既にしっかりしていない場合や、

くいしばりなどで亀裂が入り
壊れ始めている場合です。

たとえば、そういう弱っている歯を
多少無理させてでも
また、しっかりと噛ませたとします。

するとその歯は患者さんの身体をしっかり支え
その身体はベストなパフォーマンスを発揮するでしょう。
しかし、歯の寿命は短くなります。

一方で
そういう弱っている歯が
無理しないように
噛み合わせを弱く当てるならば
歯の寿命自体は長くなるでしょう。

しかし、患者さんの身体パフォーマンスが
低下する可能性があります。

歯科医はこの話はあまり
したがりません。

もちろん
こういう話はエビデンスなどありませんし、
そんなことまで歯科のせいに
されてはたまらん、
というのもあるのでしょう。

また世の中が
歯科の治療の質として
わかりやすい
longevity(長持ちかどうか)
ばかり求める
傾向がある、
というのもあります。

もちろん人の身体には
高度な適応能力があり
多少低くても
調整はされるので
それに期待している部分も
あるでしょう。

ちなみに、この適応能力にも
噛み合わせへの身体反応の鋭敏度にも
個体差があります。

それぞれの歯の状況や噛み合わせの強さや
歯の使い方もそれぞれ個人差があり

太くて短いを望むか
細くて長いを望むか、みたいな
患者さんによって人生観も違い

年齢や
今が人生のどういう頑張りどころなのか、
みたいなこともあるかもしれませんし、

どれだけの費用ならば
どのくらいの期間、治療歯が持ってほしい
という
お金に対する価値観も違います。

歯がなくなった後の対応
インプラントなのか、入れ歯なのか
それらの受け入れによっても違ってくるでしょう。

実は相談すべきことはいくらでもあり
当院ではそういう時間をとるように
していますが、

どれくらい当てるかみたいな
微妙なところは
患者さんとしても聞かれても困る
みたいな部分だと思います。

そういうところ、
結局、歯科の治療は
匙加減、であるといえます。

いろいろ考えて
この人のこの歯は
このくらい当てよう、と

この采配が
当たることもあれば
外れることもあるわけで

患者さんが長く
元気で通ってきてくれる歯科医院は
そのあたりが
良いのかもしれません。


 
2022年06月07日 20:26

ユニット交換

歯科の治療台のことをユニット、と呼びます。

先日当院のユニットを一台交換しました。
クリーニングや予防処置に使っていたユニットです。

もともと当院のユニットは
30年とか前のもので
すごく古いのですが、

最近のユニットのように
電子制御やセンサーだらけでない分
正直なところとても故障が少なく
コンパクトで

各器具の回転速度も
椅子を倒す速度も
すべてマニュアルで

術者が手足をつかって
歯の状態や
患者さんの様子を見ながら
レバーを操作して動かしています。

治療用のユニットは
今もそのタイプを使っていますが

予防処置用のものは
とうとう壊れそうだったので
交換しました。

工事の日、
30年以上のこの医院の歴史を知っている
外された古いユニットが台車で運ばれて行きました。

思わず手を合わせました
「ありがとうございました」と。

たくさんの人の健康を守り
その活躍を支えてきていただいた、
古いユニットに、感謝です。

一方で、
新しいユニットも
それはそれで
とってもかっこよくて
いろいろ便利で

やっぱり
これはこれで
いいなあ、なんて
思ったりもしてます。









 
2022年05月28日 15:03

麻酔が効きにくいとき

歯科では麻酔を多用しますが
まれに効きにくい方がいらっしゃいます。

「それは麻酔が下手なんだよ」と
言いたい関係者もいらっしゃるかもしれませんが

歯科でよく使う
局所麻酔薬、リドカインは
遺伝子レベルで効きにくい人がいると
言われています。

それから
例えば下顎の奥歯の病状が余りに悪くなってしまって
やむを得ず、複数歯の抜歯や、
手術をしなければならない場合、

下顎孔伝達麻酔という方法があって
これがうまくいくと
術中の鎮痛が
まったく違うものになります。

ただしこれも通常リドカインですし

ちょっと専門的ですが
靱帯が神経の入り口を取り巻いている
解剖学的形態の方もいて

そういう方で効かせるためには
かなりのピンポイントで
注入をする必要があります。

つまりそういう方の場合、
麻酔の成功率が低くなるのです。


では治療しようとして
麻酔が効きにくい時にはどうするか

「ちょっと頑張ってください」と言って
やってしまうか…
それはしません。
やりたくもありません。

どれほど我慢なさっているかわからない状況で
治療を進めるのは
危険だと思います。

ではどうするか

麻酔効果不良時に
リカバリーする方法が
いくつかあります。

患者さんに相談の上で
その方法で麻酔を追加します。

それでも効かなかったらどうするか

相談のうえで
もしよろしければ
もう一回追加します。

それだけやれば
まずリカバリーできるのですが

残念ながら
非常にまれですが
効きが悪い場合があります。

その場合はどうするか

治療を中止します。

歯科の治療の途中であっても
そこまでで
鎮静消毒剤を入れて
ふたをしたり、など対応することで

次回治療時にはより効きやすい
状態にすることができます。


歯科治療は
命のかかった手術や
救命救急処置ではありませんので
無理をすべきではありません。

歯科恐怖になったり
歯科医への信頼を失ってまで
無理くり治療すべきではないと考えます。











 
2022年05月05日 15:29

運転のこと

広尾の職場まで毎日車で通勤しています。

大体計2時間くらい、
毎日運転しています。

昔は電車で通勤していたこともあったのですが

その頃は
診療後の雑用が夜10時とか11時くらいまでかかると
帰りが面倒になってしまって、
よくホテルに泊まったりしていました。

今は
帰りが遅くなるほど
道が空いてくるので
いいです。

でも朝は高速道路も一般道も
ドライバーの皆さんは都心に向かって
なかなか激しいラッシュアワーに
なります。


自分は自動車免許を取って30年くらいです

自慢?としましては
毎日2時間以上の通勤でも
通勤以外の運転でも
この30年間

現時点では、ですが

他の車をこすったりとか
そういう事故の類は一切ありません。

ないのが普通なのかな?
ちょっとわかりませんが

トラブルは予想外の時にやってくるかもしれないので
気を付けなくてはいけませんけれども

無意識のうちに
リスクを避けている、というのも
あるのかもしれません。

なんかやな感じがする、とか
この辺りは、とか、あの車、
何となく、危ない感じがする、とか

こういう慎重?な性格は
仕事でも生きていると感じます。

新しいものにすぐに飛びつかない、とか

安全なケースで少しずつ始めて
その経過を観察して
「これはいける」と思ったら
本格的に導入する、など

ただ車の運転と違いがあるとしたら
歯科治療の場合、
時に正解のない状況とか、
道なき道とわかっていても
あえて行かなければならないことがある
というところでしょうか

レントゲンなどの資料や模型を前にして
この治療をどうしたらいいのかと
頭を抱える状況は
歯科医なら皆さん経験していると思います。

リスクがあるときは
通過するスピードを落とすにしても

結局は患者さんと二人三脚で
突破しなければ
にっちもさっちも行かないような
困難なプロジェクトも
あるわけです。

一歩、また一歩と進みながら
お互いのことが分かってきて
何となく方向性が決まってくる、
なんてことがよくあります。

たぶん治療の99%
あるいはそれ以上は
成功させていると思いますが
(トラブルやクレームなく
完遂するという意味で)

でもまれに
上手くいかないこともあります。

そういう場合も
これまでは何とかフォローしてきましたが


ちなみに
今日の帰りは
夜10時くらいに診療室を出て
高速道路で帰ってきました。

貧乏性で
高速料金がもったいないかな
なんて思いそうになったり

そういうところがいけないですね

睡眠不足で集中力が鈍れば
歯科治療は一瞬のミスで
やり直しとか
大変な迷惑を患者さんにかけてしまうもの

患者さんは人生の残りの貴重な時間を
自分が治療したその歯で
過ごされるのです。

なので
睡眠不足や
気力不足にならないように
ちゃんと時間を「買う」

ちゃんと寝て、ちゃんと食べ
ちゃんと研修に費用をかけ
ちゃんと人と関わり、ちゃんと人生を楽しみ
ちゃんと本を読み
社会人として、家庭人として
歳相応の人間性をはぐくみ
やさしさや判断の心が
曇らないように

そのために費用を頂いている
わけですから








 
2022年04月24日 22:40

ガイデッドサージェリー

当院ではインプラントを入れる際に
ガイデッドサージェリーを行います。

CTを撮影してデジタル3Dの画面上で
シミュレーションして
計算通りの位置に入れていきます。

以前のインプラント手術に比べて
圧倒的に正確で安全で早く、
そして出血量や術直後の傷の痛みなども
極めて少なくなりました。

シンプルな症例であれば
術後、痛くなく血も出なかった、
といわれることが多いです。

最近のインプラントは
表面性状といって骨と結合する部分の
性能も圧倒的に進化し
ガイドの使用で
はるかに楽に、処置も早くなり
確実性、安定性も高く、

歯がなくて入れ歯が嫌な患者様に
積極的にインプラントを勧められるようになったのは
この進歩のおかげともいえます。

このように
ガイデッドサージェリーの手技は
とてもスマートなものですが

一方で、ではそれぞれの患者様の人生のなかで
いつ、どこに、どのようにインプラントを使っていくかは
時に非常に悩ましい問題となることがあります。


今日は休日でしたが
職場で、ある患者様のCT画像や模型などを前に
頭を抱えて?おりました。

人の身体はもともと
平等にはできていなくて
時に歯のことでは非常に苦労する方々が
いらっしゃいます。

若いころにはそれはあまり顕在化しないことも
多いのですが
ある時期から
歯列の崩壊、が起きてきます。

積極的に治療してほしい、という方には
できるだけ歯列が維持されるように
積極的な治療の計画を立てますが

逆に
できるだけ治療をせずに
ケアを続けて、とりあえず
できるだけ状況が進行しないようにしてほしいと
ご希望されることもあります。

ケアだけ、というのはあまり好ましいことではありません。
やがて現実に直面するからです。

ケアを続けた場合
その結果、悪化のスピードは
ケアにより、遅くできたとしても

年齢とともにこんどは
人の身体自体が、機能低下していきます。
免疫も唾液量も骨もその他もろもろ変化し
問題の進行に拍車をかけ

やはりどこかで
本格的に、全体的に手を入れる必要が出てきます。

ケアをしながら、折に触れて
状態の悪化や
本格的に手を入れなければならない時期が近いこと
は、お話しするわけですが、

私も含め誰でも
自覚症状が「まだ大丈夫」な時は楽観的ですが、
どうにもならなくなってしまったときに
はじめて本気で状況に向き合うことになります。

さて、どのように伝えるか

「ここからここを抜歯して
こういうインプラントを入れて
こういう歯を入れます。
これが当院の治療計画書です。
これでよろしければお電話ください。」?

みたいなかかわり方であれば
楽?かもしれませんが

そうはいかないわけです。

どのように伝えるか、もそうですが、

これまで見てきた
その患者様の身体や性格を考えて
どういう順番で進めれば
生活に支障の少ない
結果に納得してもらえる進め方ができるか

例えば、抜歯すべき歯でも
とりあえず残しておいて
歯のないところに少数のインプラントを入れて
そこに仮歯で噛めるようにしておいて
慣れてきて

その抜歯すべき歯が
患者様がもういいかな、
とか思うようになったら
抜歯して、とか

でも将来的にはこの方の状況だと
ほぼすべての歯が失われてしまう可能性もあるので
将来無歯顎になっても
ブリッジに使えるような
インプラントの種類にしておいて、とか

でもこの骨だとどうかなあ、とか


時には
長時間悩んでも
結局方針が決まらず、

これはもう何回かかけて
患者様とデータを一緒に見て
患者様の反応をみて
改めて計画を作ろう、

と思うこともあります。

結局今日はそういう結論になりました。

一見、テクノロジーの進歩は
非常にスマートな手技を可能にしているように見えますが
その運用には
言葉は良くないかもしれませんが
極めて泥臭い現実というか、
その先進テクノロジーを
個々の患者様にどう適用すべきかを
歯科医が頭に汗をかきかき、考えていたりします。






 
2022年03月20日 19:51

ゆらぎ

友人にクリエイターがいます。

企業のイメージ戦略などをやっていて独立し
今は個人でやっていますが

よく休日などに
一緒に写真を撮りに行きます。

いつも車に乗って思うのは
車の中が静かです。

気を紛らわす音がないというか

静かな環境なので
はじめは微妙な空気感になることもありますが

ちょっとした世間話から
話が拡がります

デザインについて
自然について
才能について
歴史について
そして車などで「異形」なものの
魅力について

何もない状況から何かを生み出すのも、
静かな状況を感じるのも
クリエイティブなのかと

無理に生み出すのではなく
そこには波があります

波長や周波数というよりは
ゆらぎ、でしょうか

一方で別の友人は
普段は企業のデータ分析をしていますが
趣味で人と人の間の
ゆらぎと共鳴を
研究しています。

人体には微小な動揺があり
二人が向き合って立つと
動きが共鳴してくる人と
してこない人の
組み合わせがあるようです。

お互いが感じ取っているわけで
そこには
物理的なものだけでなく
各々の人生経験や
性格などが関係するかもしれませんし、

本当に波が出ているのかも
しれません。

間をカーテンなどで仕切って
実験すると面白いかもですね。

私のやっている合気道は
気を合わせる、から合気

昔の合気道の達人が
こんなことを言っていたそうです。

自分を殺そうとやってきた人と
友達になってしまうのが
本当の強さ

人を殺めてやろう、とか
やっつけてやろう、などと
その人が思う状況になるまでには
相当なことがあったはずなのです。

それは小手先の技だけではないことは
確かなのだと思います。







 
2022年03月02日 09:05

新製品?

最近の歯科学を大きく発展させたものは

インプラントと
接着などの材料の進歩と
CAD/CAMや3Dプリンタ
拡大視野の導入
といったところでしょうか。

新しい分野には
どんどん新製品が出てきます。

発展してゆくこと自体は
いいことではありますが

例えば歯科用接着剤で
~という名前の製品が出たかと思うと
1,2年後には
「~EXが出ました」
「象牙質への接着強度が~%上がりました」
とか

さらに1,2年で
「~EXの新製品、~アルティメットです」
とか

カタログのスペックはどんどん上がってるわけですが
大きな問題があります。

患者さんの歯に補綴物が装着されて
歯科用接着剤が本当の意味で評価できるのは
少なくとも10年後でしょうか

接着技術の初期のころは
たくさんの手法や製品が出てきては
消えていきました。

明らかに失敗だったものもあります。

後で失敗だったと評価された手法で
治療された患者さんたちは
どうなったのでしょう。

よく勉強している先生が
最先端の手法や材料で治療したら
数年後にその方法や材料は不適切だったと
評価されて
恐ろしいことに
案の定
取れたり、折れたり
虫歯になったりしたわけです。

その時に
材料メーカーに文句を言いたくても
「もうその製品は販売されていません」
「~EXはもっと改良されています」

という話になります。

私は接着歯学会の認定医だったので
その移り変わりを見てきました。
(開業して研究発表がおっくうになって
やめましたが…)

インプラントでも
過去にはいろいろありました。

「最先端」は
気をつけなければいけませんね

最近ではレジンセメントにも
いろいろ種類があり
使い分けが必要ではありますが

当院では主に開業時から
4-META/MMA-TBBという
レジンセメントを使用しています。

使いこなすためには
様々な関連薬剤や
技術が必要ですが

きちんと使えば
その信頼性はピカイチです。

先日JPDという
世界的に大変権威のある
アメリカの補綴学の学術誌に
4-META/MMA-TBBレジンセメントの
43年間の臨床成績の有効性に関する
論文が掲載されました。

顕微鏡による拡大視野など
その技術自体によって
何か問題が起こるわけではないなら
積極的に導入すべきです。

ただ患者さんの身体に装着するもの
入れるものについては

当然ですが
慎重に吟味すべきだと
思います。







 
2022年03月01日 21:04

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