~かけがえのない歯を大切にする治療、価値ある治療結果、そしてつらくない治療をめざしています~

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日々雑感

初夢

1日の夜に見る夢を初夢というらしいですね
諸説あるようですが

今年は残念ながら私は初夢を
覚えていませんでした。

そのかわり?
大みそかの夜には妙な夢を見ました。

昔読んだ本の中で
とある腕利きの心臓外科医が
夢の中で
出血が止まらず
汗をぐっしょりかいて
ああ、と叫んで
飛び起きる、というのがありました。

それに比べれば
かわいいものかもしれませんが

一つ目の夢は
かぶせ物を患者さんの歯にはめると
その患者さんが
おかしい、おかしいと言っていて
私は心の中で
「そんなはずはないんだけどなあ」
と思い
はめたかぶせ物を外すと
一緒に歯ごと取れてしまい
ああ、と
目が覚めました

二つ目の夢は
競争をしていて
自分が二位で
一位に追いつき
「これは追い抜ける」と
抜こうとした瞬間
その人が四肢に障害のある人であることに
気づいて
一位を譲る夢でした

どういう意味なのかはわかりませんが

今年もいろいろありそうです。


 
2023年01月03日 23:47

「ここ一番」

お正月休みは今日までで
明日から診療です。

今日は職場に来て
事務処理や治療計画を作ったり
器具を研いだりしていました。

今年はどんな年になるのでしょう

気候変動や、コロナや
戦争まで起きて
世界の不安定化が増している中で
しておくべきことは何でしょうか

手前味噌ですが
歯を治すことだと思います。

時々言いますが
歯は資産です

たんす預金は増えませんが
健康な歯は無限の可能性をもたらします

世の中が大混乱してから
歯を治すわけにはいかないでしょうから

先にしっかり治しておいて

ちゃんと食べられて、ちゃんとしゃべれて
しっかり身体を支えられて
隠さずに笑えるきれいな歯があれば
何とかなるかもしれません。

まれに思春期のお子さんの虫歯の治療に
費用をかけたがらない親御さんがいますが

思春期の虫歯には
費用をかけて
顕微鏡を使って、過不足なく虫歯の治療をして
いい材料で
隙間のない接着充填をすることが
最も費用対効果の高い方法と考えます。

これから80年とか使う歯です。

将来活躍すれば
ハードな環境、ハードな仕事
重い責任、重要な判断
にさらされるでしょう。

その時に
しっかり食べれて、時には歯をくいしばって頑張れて
これからさらに不安定化していく世の中でも
やっていけるように
しっかり治しておいてあげるべきだと思います。

ちょっと話が脱線しましたが

歯は
年齢にかかわらず
これから不安定化していく世の中で

重要な局面で
ここ一番で
頑張れるように

治せるうちに
治しておく

というのが
いいのではないでしょうか。

ということで
本年もよろしくお願いいたします。




 
2023年01月03日 20:49

ペニシリン

最近は患者さんで
かなりのご高齢なのに
とても元気な方が
増えてきました。

この診療室は自分とともに歳を取っていて
60代からいらしていただいている患者さんも
もう80代とかになり

80歳代でお元気な患者さんは
もう普通にいらしていて
中には90歳になっても
ここで普通に歯科治療を受けて
普通にお帰りになるような方々が
ぼちぼち現れてきました

私の感覚では
昔と今では10歳くらいの感覚差がある
気がします。

今の90歳は昔の80歳
今の80歳は昔の70歳
70歳は60歳、60歳は50歳
という感じ

では今の若い人たちも同じように
90とかまで元気で生きるだろうかと考えると
自分を含め、そうはいかないと思っています。

私が思うに
今の90で元気な人たちは
根本が違う

90歳といえば
1932年とかの生まれ
前年に満州事変
太平洋戦争の直前の生まれで
戦争を生き抜いてきただけでなく

何といっても
抗生物質のない時代に
感染症を生き抜いてきた人たちです

フレミング博士がペニシリンを発見したのが1923年
1943年のベルリン大学薬理学教室のペニシリンに関する論文を
ドイツ往復を試みた五隻の潜水艦のうち
唯一生還した伊号第八潜水艦が持ち帰り
1944年にチャーチル首相の肺炎がペニシリンで治癒したという報道をうけ
日本でも研究が開始され
同年には製品が開発されるも
大量生産には至らず
戦後占領軍の招聘した教授の指導の下
日本の製薬各社が製造を始め
大量生産が開始されたのが1947年

今の90代は
(80代もですが)
感染症による乳児死亡率の極めて高かった時代に
抗生物質なしで生き抜いた
免疫力を持つ人たちです。

私も乳児のころひどい肺炎を起こし
抗生物質が効かなければ
もう無理だろうと医者に言われ
でも抗生物質が効いてくれたので
生きています。

フレミング博士の発見がなければ
私もいなかったのかもしれません

そうやってやっとこさ
抗生物質に救われた人に比べると
今の90代は
根本が違う人たちだと思うのです。

そしてもう20年も前のことですが
かくいう私の子供も
肺炎で入院し
なかなか熱が下がらず
面会に来た私たち両親の前で
点滴を付けたままうれしそうに
遊ぶ我が子をみたあと
面談の医師に「覚悟してください」といわれ
まさか死ぬ?のか、と
大変な衝撃をうけたものでした
その後おかげさまで回復して無事退院し
今は元気ですが

そうやって人類は弱くなっていくのかもしれませんが
でも医学は進歩しています

歯科は咀嚼と認知症予防や
かみ合わせと姿勢など
最近明らかになりつつある発展的な分野で
もっと人生をサポートする、どころか
健康寿命を延長するような知見を
臨床に取り込んでいくべきと考えます。

今年も本当にいろんなことがありました。
来年良い年が皆様に訪れますように












 
2022年12月31日 15:26

歯が原因でない痛み

患者さんが歯が痛いと訴えて来院された場合でも
原因は歯の場合と、歯でない場合があります。

歯の痛みのように感じる
歯が原因でない痛みを
「非歯原性歯痛」
といいます。

患者さんはまるで歯が痛いように感じるので
「歯を治してほしい」と来院されるのですが
注意が必要です。

残念ながら
非歯原性歯痛にたいして
歯の治療をしてしまう事例が
報告されています。

たとえば
悪くない歯を削ってしまったり
神経を取ったり
抜歯になってさえも
痛みが取れない事例

この非歯原性歯痛は
臨床で比較的高頻度に見られます。

原因は
筋肉の痛みだったり
神経線維の傷だったり
痛覚の変調とか
三叉神経痛
上顎洞炎
脳腫瘍などのこともあります。

患者さんは抜けば治るのではないかと
抜歯を希望され
抜歯をしたのに
痛みが取れない、
ということが起こりうるのです。

そのため私たち歯科医は
「これは非歯原性歯痛では」
と思ったときに
安易に削ったり、ましてや抜いたり
しないようにしなければいけません。
しても治らないのですから

痛みに耐えている患者さんには
時間がかかってしまって大変申し訳ないのですが
遠回りになるようでも
ちゃんと評価して
非歯原性歯痛の原因に対する
治療を行うことで
歯を守る必要があります。
 
2022年12月19日 06:32

剣禅話

最近読んだ本は

幕末から維新後まで活躍し、
幕末三舟(勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟)
の一人

山岡鉄舟氏の
「剣禅話」

幕府講武所の師範から
徳川慶喜の使者として
西郷隆盛と江戸城の
無血開城のために談判し
維新後は明治天皇の侍従を務めた

「無刀流」剣術の開祖。

無刀流剣術とは
1,勝負を争わず
  心を澄まし肝を練り
  自然の勝ちを得る
2,事理の二つを修行する
  事は技なり、理は心なり
  事理一致の場に至る
  これを妙処となす
3,心の外に刀なきなり
  敵と相対するとき
  刀に依らずして
  心を以って心を打つ
  これを無刀という

以前ブログに書いた
「7つの習慣」にも
「刃を研ぐ」という話がありましたが

やさしさにも
強さにも

心の切れ味を
保てたらいいなあと
思います。


 
2022年06月14日 22:54

医者の「ちょっと」

自分が昔
口腔外科にいたころ

残念なことに
この処置は痛くて当たりまえ
みたいな考えがありました。

顎骨骨折のシーネ巻とか
手術後の抜糸、とか

口腔外科でなくてもあります。
下の奥歯の急性歯髄炎の治療とか

患者さんの立場からして
心配なのは
自分がこれから受ける処置は
どうなのか、ということだと思います。

これは歯科に限らず
何科でもあることだと思うのですが

というか、
医科のほうが多いかもしれません。

以前内科の先生に
「ちょっとしみる可能性がある」と言ったら

「医者の言う”ちょっと痛い”は
ちょっとじゃないことが多いので、
麻酔してください」とのことでした。

かつては伝統的に
痛いのはしょうがない、
みたいな認識があったわけですが

今思うと
バタバタと忙しい
大学病院の診療室だから
できなかっただけで

例えば抜糸とか
肉眼でやろうとするから
引っ張らなければいけないのであって

マイクロスコープを使って
0.3mmの糸を
10倍に拡大して切れば

ほとんど引っ張らなくてもいいし
痛くなくできます。
(状況にもよるかもしれませんが)

急性歯髄炎の治療にも
様々な工夫があります。

高杉晋作氏の言葉で
「おもしろきこともなき世を
おもしろく」

というのがあるようですが、

当院では
様々な工夫で

「痛い治療も
痛くなく」

でありたいと思っています。
2022年06月14日 10:33

匙加減(さじかげん)

歯は体を支えています。

治療でかぶせ物をするために
歯を削ったり

入れ歯の噛み合わせを修正したりすると

急に患者さんの身体が傾いたり
逆に姿勢が直ったり
という経験を
多くの歯科医がしていると思います。

しっかりとした奥歯が
しっかりとその人の身体を支えるなら
問題はないのですが

問題となるのは
その歯が過去に虫歯や炎症などで
治療を繰り返していて
既にしっかりしていない場合や、

くいしばりなどで亀裂が入り
壊れ始めている場合です。

たとえば、そういう弱っている歯を
多少無理させてでも
また、しっかりと噛ませたとします。

するとその歯は患者さんの身体をしっかり支え
その身体はベストなパフォーマンスを発揮するでしょう。
しかし、歯の寿命は短くなります。

一方で
そういう弱っている歯が
無理しないように
噛み合わせを弱く当てるならば
歯の寿命自体は長くなるでしょう。

しかし、患者さんの身体パフォーマンスが
低下する可能性があります。

歯科医はこの話はあまり
したがりません。

もちろん
こういう話はエビデンスなどありませんし、
そんなことまで歯科のせいに
されてはたまらん、
というのもあるのでしょう。

また世の中が
歯科の治療の質として
わかりやすい
longevity(長持ちかどうか)
ばかり求める
傾向がある、
というのもあります。

もちろん人の身体には
高度な適応能力があり
多少低くても
調整はされるので
それに期待している部分も
あるでしょう。

ちなみに、この適応能力にも
噛み合わせへの身体反応の鋭敏度にも
個体差があります。

それぞれの歯の状況や噛み合わせの強さや
歯の使い方もそれぞれ個人差があり

太くて短いを望むか
細くて長いを望むか、みたいな
患者さんによって人生観も違い

年齢や
今が人生のどういう頑張りどころなのか、
みたいなこともあるかもしれませんし、

どれだけの費用ならば
どのくらいの期間、治療歯が持ってほしい
という
お金に対する価値観も違います。

歯がなくなった後の対応
インプラントなのか、入れ歯なのか
それらの受け入れによっても違ってくるでしょう。

実は相談すべきことはいくらでもあり
当院ではそういう時間をとるように
していますが、

どれくらい当てるかみたいな
微妙なところは
患者さんとしても聞かれても困る
みたいな部分だと思います。

そういうところ、
結局、歯科の治療は
匙加減、であるといえます。

いろいろ考えて
この人のこの歯は
このくらい当てよう、と

この采配が
当たることもあれば
外れることもあるわけで

患者さんが長く
元気で通ってきてくれる歯科医院は
そのあたりが
良いのかもしれません。


 
2022年06月07日 20:26

ユニット交換

歯科の治療台のことをユニット、と呼びます。

先日当院のユニットを一台交換しました。
クリーニングや予防処置に使っていたユニットです。

もともと当院のユニットは
30年とか前のもので
すごく古いのですが、

最近のユニットのように
電子制御やセンサーだらけでない分
正直なところとても故障が少なく
コンパクトで

各器具の回転速度も
椅子を倒す速度も
すべてマニュアルで

術者が手足をつかって
歯の状態や
患者さんの様子を見ながら
レバーを操作して動かしています。

治療用のユニットは
今もそのタイプを使っていますが

予防処置用のものは
とうとう壊れそうだったので
交換しました。

工事の日、
30年以上のこの医院の歴史を知っている
外された古いユニットが台車で運ばれて行きました。

思わず手を合わせました
「ありがとうございました」と。

たくさんの人の健康を守り
その活躍を支えてきていただいた、
古いユニットに、感謝です。

一方で、
新しいユニットも
それはそれで
とってもかっこよくて
いろいろ便利で

やっぱり
これはこれで
いいなあ、なんて
思ったりもしてます。









 
2022年05月28日 15:03

麻酔が効きにくいとき

歯科では麻酔を多用しますが
まれに効きにくい方がいらっしゃいます。

「それは麻酔が下手なんだよ」と
言いたい関係者もいらっしゃるかもしれませんが

歯科でよく使う
局所麻酔薬、リドカインは
遺伝子レベルで効きにくい人がいると
言われています。

それから
例えば下顎の奥歯の病状が余りに悪くなってしまって
やむを得ず、複数歯の抜歯や、
手術をしなければならない場合、

下顎孔伝達麻酔という方法があって
これがうまくいくと
術中の鎮痛が
まったく違うものになります。

ただしこれも通常リドカインですし

ちょっと専門的ですが
靱帯が神経の入り口を取り巻いている
解剖学的形態の方もいて

そういう方で効かせるためには
かなりのピンポイントで
注入をする必要があります。

つまりそういう方の場合、
麻酔の成功率が低くなるのです。


では治療しようとして
麻酔が効きにくい時にはどうするか

「ちょっと頑張ってください」と言って
やってしまうか…
それはしません。
やりたくもありません。

どれほど我慢なさっているかわからない状況で
治療を進めるのは
危険だと思います。

ではどうするか

麻酔効果不良時に
リカバリーする方法が
いくつかあります。

患者さんに相談の上で
その方法で麻酔を追加します。

それでも効かなかったらどうするか

相談のうえで
もしよろしければ
もう一回追加します。

それだけやれば
まずリカバリーできるのですが

残念ながら
非常にまれですが
効きが悪い場合があります。

その場合はどうするか

治療を中止します。

歯科の治療の途中であっても
そこまでで
鎮静消毒剤を入れて
ふたをしたり、など対応することで

次回治療時にはより効きやすい
状態にすることができます。


歯科治療は
命のかかった手術や
救命救急処置ではありませんので
無理をすべきではありません。

歯科恐怖になったり
歯科医への信頼を失ってまで
無理くり治療すべきではないと考えます。











 
2022年05月05日 15:29

運転のこと

広尾の職場まで毎日車で通勤しています。

大体計2時間くらい、
毎日運転しています。

昔は電車で通勤していたこともあったのですが

その頃は
診療後の雑用が夜10時とか11時くらいまでかかると
帰りが面倒になってしまって、
よくホテルに泊まったりしていました。

今は
帰りが遅くなるほど
道が空いてくるので
いいです。

でも朝は高速道路も一般道も
ドライバーの皆さんは都心に向かって
なかなか激しいラッシュアワーに
なります。


自分は自動車免許を取って30年くらいです

自慢?としましては
毎日2時間以上の通勤でも
通勤以外の運転でも
この30年間

現時点では、ですが

他の車をこすったりとか
そういう事故の類は一切ありません。

ないのが普通なのかな?
ちょっとわかりませんが

トラブルは予想外の時にやってくるかもしれないので
気を付けなくてはいけませんけれども

無意識のうちに
リスクを避けている、というのも
あるのかもしれません。

なんかやな感じがする、とか
この辺りは、とか、あの車、
何となく、危ない感じがする、とか

こういう慎重?な性格は
仕事でも生きていると感じます。

新しいものにすぐに飛びつかない、とか

安全なケースで少しずつ始めて
その経過を観察して
「これはいける」と思ったら
本格的に導入する、など

ただ車の運転と違いがあるとしたら
歯科治療の場合、
時に正解のない状況とか、
道なき道とわかっていても
あえて行かなければならないことがある
というところでしょうか

レントゲンなどの資料や模型を前にして
この治療をどうしたらいいのかと
頭を抱える状況は
歯科医なら皆さん経験していると思います。

リスクがあるときは
通過するスピードを落とすにしても

結局は患者さんと二人三脚で
突破しなければ
にっちもさっちも行かないような
困難なプロジェクトも
あるわけです。

一歩、また一歩と進みながら
お互いのことが分かってきて
何となく方向性が決まってくる、
なんてことがよくあります。

たぶん治療の99%
あるいはそれ以上は
成功させていると思いますが
(トラブルやクレームなく
完遂するという意味で)

でもまれに
上手くいかないこともあります。

そういう場合も
これまでは何とかフォローしてきましたが


ちなみに
今日の帰りは
夜10時くらいに診療室を出て
高速道路で帰ってきました。

貧乏性で
高速料金がもったいないかな
なんて思いそうになったり

そういうところがいけないですね

睡眠不足で集中力が鈍れば
歯科治療は一瞬のミスで
やり直しとか
大変な迷惑を患者さんにかけてしまうもの

患者さんは人生の残りの貴重な時間を
自分が治療したその歯で
過ごされるのです。

なので
睡眠不足や
気力不足にならないように
ちゃんと時間を「買う」

ちゃんと寝て、ちゃんと食べ
ちゃんと研修に費用をかけ
ちゃんと人と関わり、ちゃんと人生を楽しみ
ちゃんと本を読み
社会人として、家庭人として
歳相応の人間性をはぐくみ
やさしさや判断の心が
曇らないように

そのために費用を頂いている
わけですから








 
2022年04月24日 22:40

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