~かけがえのない歯を大切にする治療、価値ある治療結果、そしてつらくない治療をめざしています~

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日々雑感

最後臼歯について

歯が欠損した場所への対応には
通常4つの方法があります。

インプラント、ブリッジ、入れ歯、
そして、欠損のままにするというものです。

以前は一番奥の歯(最後臼歯)などは
欠損のままにすることも多かったです。

なぜなら
一番奥の歯はなくなっても
8割くらいの人は不自由を感じないとされているのと、

ブリッジにするには健康な歯を削ることになるし
入れ歯を1本だけ入れるのも、
その着脱、清掃の手間、異物感など
デメリットも大きいと考えられるからです。

ただ最近はインプラントが性能、運用方法ともに
進化していて

人生100年時代
やっぱりちゃんと奥歯が欲しいと
一番奥の歯でもインプラント治療をして
歯を入れる方が多くなってきています。

私としても無理強いは決してしたくないので
「欠損のまま、という選択肢もありますので
しばらく生活してみて、決めましょう」と
お伝えすることが多いのですが

やはり歯を入れたい、とおっしゃる方も
最近は多いです。

最後臼歯部にインプラント埋入をする場合、
歯肉の幅が狭いことが多いのと、
下顎管といわれる骨内の神経、血管の通り道までの距離など
使用できる骨の高さが
少ないことが多いですが

CTと3Dスキャナー、シミュレーションソフトを使用して
サージカルガイドを作ることで
より一層安全な植立が可能になります。

高品質のインプラントを使用し
植立時に
歯肉にわずかに切開を入れて移動し
インプラント周囲を取り巻くように
歯肉を位置させると

将来的に
長持ちするインプラントになります。

こういう繊細な外科手技には
顕微鏡治療が必須と、
私は、ですが、
思います。

最近は
80代、90代でも
ご希望があればですが
インプラント治療をします。

私が老人ホームで診察するようになって
もう何年でしょう

10年くらいなるのか

ご高齢で
認知症も進んでいたり
身の回りのことをするのが困難だったりして、
ご自身では歯を磨けなくても

インプラントが
問題なくそういう人の食生活を
支えているのを見て

これはありだな、と思うようになりました。
実際90代の私の親もそうです。

もちろん
インプラント計画を立てる際には
お体の病気の状態や内服薬などとの
関係を確認する必要もあります。

私は卒後、大学病院の
口腔外科や手術部麻酔科で
研修を受けてきましたので

担当されている内科医などと
ご相談させていただいて

計画を立てさせていただければと
思います。













 
2026年07月15日 07:17

緩さ(ユルさ)

信念を持つプロフェッショナル
と言うと
なんだか
かっこ良さそうですが

その信念が
危険なこともあり

まあ信念の
内容によりますかね

自分が患者さんだったら
「この治療法が絶対いいんだ」
という歯科医とは

あまりお付き合いしたくないですね

「あなたのためにこれがいいんだ」
と言われたら
余計なお世話だ、と思うでしょう。

驚くべきことに
昔は早めに入れ歯にしたほうがいいんだ、
という考えの歯科医がいたりしました

天然歯を残す治療をせずに
インプラント?という考え
これもヤバい

両隣の天然歯を削ってブリッジより、
歯のないところにインプラント
これはありです。

治療で決してつらい思いをさせたくない、という
信念なら
ぜひお願いしたいかな

私は臨床で
「してください」とは
言わないようにしてます。

「うーむ、こうするといいかもしれない」「というのは・・・」
という提案はします。

私が「~のほうがいいんじゃないですかね」とか言うときは
実は結構強い推奨ですので
すでにかなりの状態なのかもしれませんし、
比較検討の結果、どう見てもこれがいいんじゃないかな、
と言う意味だと思います。

それでも私が決めるわけではありません。
時間かけて考えていただいて

その間、他の小さな虫歯の治療とかしたりして
時間をおいて

結局私が薦めたA案でなく
「俺やっぱりB案がいいや」とか
「ここはもうちょっと様子見ます」とか
そういう事もよくあります。

ありだと思います。

開業医、特に歯科医の場合、
あたりの柔らかさというか
緩い(ゆるい)感じも
必要だと思うのです。









 
2024年09月05日 17:25

「治療しない」選択

まれにご高齢の歯科医で
自分の口の中に
虫歯があっても
何十年も
治療せず、放置したという
人達がいます。

虫歯があることには
当然気づいているのですが
治療せず、
痛くなっても何とか薬などで
その時期を乗り切り

虫歯が拡大し
歯髄が死んで
根の先に炎症が生じ

さらに虫歯が拡大して残根状態になり
ついに歯が割れて
それでも放置して

おそらく隣の歯が歯のない部分に倒れこみ
反対側の歯は伸びてしまい
噛み合わせのバランスも崩れているでしょう
負担過多でその周りの歯も痛んだかもしれません。

治療しないことに決めたのだ
と言ってました。
まあ元気そうですが

昔は歯の炎症で亡くなる人もいたわけですが
今は抗生物質があるので
特別な事情がない限り
亡くなることはないと思います。

腫れたり痛んだり、
いろいろ大変なこともあったのだと思います。
免疫力も、噛み合わせの変化などへの体の適応能力も、
運もよかったのかもしれません。
生体は時に驚くほどの適応能力を示すこともあります。

でもこの
「治療しない」という選択は
すべての事を「受け入れられる」、「我慢できる」人にしか
おすすめできません。

治療しなかったらどうなるか、
それを受け入れる考え方もある、という話は
治療方針の相談の際に
私から聞いた患者様も
いると思います。

ごく小さな虫歯に対する戦略
グレーゾーンの歯の治療に対する考え方
以前にもブログで書きましたが

ただ多くの場合
虫歯の放置は
おすすめできることではありません。

いろんなことを受け入れていくことを
「自然派」な考えてとして
良しとする向きも世間にはありますが

虫歯の放置は
ちょっと違う気もします。

人類が炭水化物を加熱調理して
虫歯を作るようになってから
大して時間がたっていません

生命の進化の歴史から見てです。

虫歯を作る状況こそが
生物にとって不自然であり、

私が考える最も「自然派」な方法は
虫歯の穴を小さいうちに最小限の充填で治療し
できるだけ
天然の歯質を残すことだと考えます。




 
2022年01月16日 23:18

「ご高齢の方の治療計画について」

ご高齢の患者さんの治療方針には
大きく分けて二つの考え方があります。

歯に多少の不自由があっても、
程々に、最小限の治療で済ますか
回数や費用がかかってもきちっと
良い形に治しておくか

もちろん相談して決めることですが
私は基本
積極的に生活の質を高めるような
「きちっと治す」治療方針を
お薦めすることが多いです。

最近のご高齢の方は元気な方も多いですし、

80代でもきれいに歯をケアしていて
元気で充実した生活をなさっている方なら
残った歯の状況にもよりますが

費用は安いけれども
残った歯に負担がかかる、あまり咬めない入れ歯よりも
費用がかかっても残った歯に負担の少ない
よく咬める入れ歯を薦めていますし、
義歯でなくインプラントを薦める事もあります。


高齢者にインプラントを薦める事については
賛否があります。

私も昔は否定派でした。

極端な話、総入れ歯の方が
介護が必要になったとき
楽じゃないかと。


私はお隣の日赤の老人ホームにも
休診日に診療に行ったりしていますが、

総入れ歯の方は介護が楽、
確かにそうです。

一方でインプラントの人も時々いらっしゃいます。

この人の体力はインプラントが支えているな、と
思うような方もおられる

どちらがいいかは
難しい問題です。



時々診療室で
とてもお元気なご高齢の方が
こんな風におっしゃることがあります。

「まあ、あと数年だから、
ほどほどで」と…

しかし元気で
充実した生活を送っている
健康な高齢者が
「寝たきりに向けて」
消極的な治療方針を選択する事には
私は疑問を感じます。

私が開業している地域では
平均寿命よりずっと長く元気で居られる方が多いように
感じます。

しかし、本当にあと数年ということも
あるかもしれません。
それはわかりません。

たとえもし、そうであったとしても、
その人の、その最後の「数年間」は
二度とないのです。


寝たきりの終末にむかう準備として
その数年を費やすか

その数年の生活の質を
出来るだけ高めようとするか

その方の生活環境にもよるでしょう。
その医院の環境にもよるかもしれないです。

でもこの地で開業して来た自分としては
可能であるならば後者の、
あと数年の生活の質を
出来るだけ
高める方を選択してもらいたい、と
思っています。
2015年04月18日 00:00