~かけがえのない歯を大切にする治療、価値ある治療結果、そしてつらくない治療をめざしています~

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日々雑感

新年(2026)

あけましておめでとうございます。

お正月休みもあっという間に終わりまして、

と言っても、まるまる休みだと少々時間を
持て余してしまう感もあったのですが、

診療が始まると共に
いくつかの問題の解決や
複数の治療のプロジェクトが
一気に始まり

この感じは
わるくないなと思います。

時には疲れることもありますが、

やはり仕事は健康の源だなあと
思ったりするわけです。

とある患者さんがおっしゃってましたが
大事なのは
「きょういく」と「きょうよう」とのこと。
いわゆる教育と教養ではなく

今日、行く、ところがあることと、
今日、用が、あること

だそうです。

今日は木曜で休診でしたが
診療室で雑用の後、

何人かの患者様の治療計画を考えました。

どれくらい噛めるクラウンを入れるか、を考えたりして

「とにかくよく噛めるクラウンがいいに決まってるじゃないか」と
思われるかもしれませんが

すごくよく噛めるクラウンを入れると
実は歯の根に負荷がかかりすぎる、ということが起きます。

高速走行用の高性能タイヤの寿命が短いように
いわゆるトレードオフの関係で

例えば石臼のように
上下でぴったり合って
ゴリゴリすりつぶせれば

食べ物を瞬時につぶすことができ、
消化にも味覚的にもいいかもしれませんが、

擦れ合う歯には大変な負担がかかり
結果的にその歯の寿命は短くなります。

どれくらい噛めるかを専門的には
咀嚼能率、という言い方をしますが

上下の歯が当たってはいても
「擦れ合わない」歯は

根にかかる負担が少ないため
歯が長持ちします。

ただし、その歯が咀嚼にあまり貢献しないことになり、
その代わりに
その周りの歯に負担がかかってくるので

周りの歯の寿命に影響してくることもあります。

つまり、治療した歯が長持ちするだけで
必ずしも腕のいい歯医者とは言えない、ということがあります。

私たちはその患者様の
性格とか、治療へのご希望とか
年齢とか、
歯科に対する経済的な感覚とか
その歯自体の強さとか、
その歯と噛み合う方の歯の強さとか
その周りの歯への負担とか

咬合力の強さとか、
全体的な噛み合わせのバランスとか
ブラッシングなど管理のレベルとか
お体の状態(加齢後にに再治療できるかとか)

できれば歯を削る量の少ない方法はできないか、
マウスピースへの理解はどうだろうか、とか

天然の歯の、人工物には替えられない、良さを
どうやって残すかとか、

そのあたりのことをいろいろ考えながら、
匙加減を調整しながら計画を立てて行きます。

一か所の治療が全体に影響しますので
人生のように?
太く短くか、細く長くか、
その中間か、とか
これをすべての歯で組み合わせる感じでしょうか

ブログを書いていたら
時間がたってしまったので
また仕事に戻りたいと思います。

新年早々、ややこしい話で失礼しました。

本年もよろしくお願い申し上げます。






 
2026年01月08日 18:52

「歯列」という考え方 ~目標は生涯維持~

上の顎にも下の顎にも
Uの字型に歯が並んでいます。

人によっては
V字型の人もいるかもしれません。

これを
全体で、歯列、と呼びます。

歯は単独で機能しているわけでなく
「歯列」で機能します。

食べ物を咬みきり、咀嚼し
会話の時の発音にも
見た目にも

歯列の維持、が重要です。

今後高齢化する社会、
人生90年時代に
いかに「歯列」を維持するか

初診の患者様がいらして
痛い場所とか、壊れた歯の治療が
ある程度進んだら

次は歯列を見ます。

どうやってこの歯列を
将来的に維持するか
相談します。

なぜある程度治療してから
相談するか

初診の患者様からしたら
どんな治療をしてくれる歯医者なのか
はじめはわからないからです。

なるほどこういう感じなのか、
とわかってもらってから
全体の話をします。

歯列全体を見ると
「ところでこっちの歯は大丈夫なのか」、とか
「この当たり方だと将来この歯が悪くなりそうだな」、とか

いろいろでてきます。

目標は歯列の維持です。
90歳まで、最近は100歳?まで

入れ歯も、インプラントも
得意ではありますが

でもできれば、入れ歯になってほしくないし、
できれば、インプラントにもしないで済ませたい
と考えています。

 
2025年12月06日 07:28

どこまで

診療室の5年後のあり方を構想しようとして
5年前の日記を見てみました。

読んで感じたのは
5年前の方が臨床をやるにあたって
悩んでいない(笑)

今の自分は
5年前の自分が知らなかった知識や技術を
知っていますが

5年前の自分は
自分のスキルに疑いなく
のびのびやっていた
感じが読み取れます。

たとえば
上下のあごがかみ合う
顎の位置(顎位)を決める方法

もちろん
5年前にやっていたのも
世界的に見て標準的な方法です

ただその後の5年間で
もっといい形に治せる方法を
知ってしまった、ということがあります。
しかしそれを適用すべきかどうかにおいて
哲学的な問題があると考えます

例えば顎関節
ヒトの顎関節は一般的に
年齢とともに変化していきます。

骨の間にある軟骨の円板がずれたり
穴が開いたりして
やがて骨同士が当たりはじめ
それにより骨がすり減り
その結果かみ合わせが変わり
奥の方の歯の当たりが極端に強くなってきて
奥歯からだんだん失われる傾向があります。

加齢変化とも言えます。
これは膝や股関節などでも
似たようなことが起きます。

昔は
その時のその年齢の顎関節に
合った歯を入れればいいじゃないかと思ってました

その関節に合った歯を入れれば
その歯が顎を支えて
関節の老化が遅れるかもしれないし

老化の進行が変わらなければ
それは体の方の問題と

しかしその後
顎関節は加齢の時計を
ある程度戻せる可能性があることを
知りました。

この考え方は最先端であるし
学術的にも証明の途中にあります。
しかしどうやら正しそうです。
うまく適用できれば
健康寿命に対するインパクトも
かなり大きいのではないかと考えます。

このような、老化の時計を戻すような
治療が、今後医科にも歯科にも入ってくるでしょう。

実際それほど難しい手技ではありません。
マウスピースを使って
時間はかかりますが、

しかしこのときに問題になるのは
顎関節だけ戻していいのか、という問題です。

先ほどお話ししたように
ヒトの体は変わってゆきます。

体の関節も骨格も姿勢も変わってゆき
顎の骨も華奢になり歯を支える骨も減っていて
そして歯列も加齢に合わせてすり減っています。

そんな中で顎関節だけ
いわゆる若返りさせたとしたら

噛み合わせも変わるし
若返りした後の顎関節を
老化した骨や歯が支えられるのか

大規模で頑丈な治療をすれば
支えられるかもしれないが

若返りした顎関節が
どれだけ維持されるかわからないのに
顎のあたりだけ若返りさせたことが
全身にどのような変化をもたらすか、

想像以上に
いい変化をもたらす可能性はありますが、
アンバランスが
逆に新たな問題をもたらすかもしれない、のに
そこまで踏み込むのか

かといって
老化して機能低下していく関節をわかっていながら
それに調和した歯を入れることだけで正しいのか

医学の進歩によって
たくさんの哲学的な問題が発生しています。

歯科ではインプラントもそうです。
なんで悪くなってしまった歯を努力して残すのか
という考え方もあります。

先日亡くなられた松本零士氏の原作のアニメで
銀河鉄道999というのがあって
子供の頃よく見てました。

その中で機械伯爵?が
なんで生身の体にこだわるのか
機械になれば永遠の命が手に入るのに
みたいなセリフがあったと思いました

まあインプラントは
何もかもいいわけではないので
まず天然の歯を残すことが大切かと思いますが

こんな話を以前シアトル大から来た先生に質問したら
僕の専門ではないので哲学者に聞いてくれと
言われたこともありましたが








 
2023年04月30日 21:37

どこまで治すか

人の歯は上に14本、
下に14本あります。
(親知らずを除く)

これを「歯列」と言います。

歯科医が治療するにあたり
「どこまで治療すべきか」
という問題があります。


どこまで、とは

依頼された「その歯」だけ治せばいいか

「歯列全体」の健康を考えるべきか

「歯列全体と顎の関節など咀嚼器官」の健康まで考えるべきか

「歯列全体と顎の関節など咀嚼器官から体のゆがみや重心など体全体のこと」まで
考えるべきか

歯科医によって考えはそれぞれです。

私自身は「体全体のこと」まで考えて
学び続けるべきだと
思ってはいますが

話が大きくなるほど
科学的根拠が怪しくなってくることも
事実です

老化で変化してゆく体に対して
歯だけがそれにあらがうことが
そもそもできるのか、というのもあります。

どこまでやるべきか
どこまでできるのか

人は変わってゆきますし
変化は経験しなければわからないと思います。

やはりこれは
いろいろな関係性(バランス)の問題であり
 

それぞれの患者様と我々との関係
それぞれの患者様の老化とその受け入れの関係
その処置の学問的正確さと臨床実感の関係
それぞれの患者様の自然治癒力との関係

歯科にかかわることは
さまざまな動的な平衡状態を維持しつづけることでも
あると思っています。
 

2021年08月26日 00:03

力と調和

一般的に力が強くかかる歯ほど
問題が起きやすくなる傾向があります。

歯に力がかかりすぎると
欠けたり
ヒビが入ったり
詰め物が緩んできたりしやすいです。

そこから虫歯が進みます。

ではそういった歯を
すごくかたい材料でクラウンを作って
ガチっと固めたらどうなるか

今度はその歯の歯根や
支えている骨に
歯根破折や
炎症などが起きやすくなります。

ではいっそのこと
歯を抜いてしまって
強力な太いインプラントなどを植立して

上下で強力に噛ませたらどうか

そうすると
おそらく顎関節に問題が起きてきます。

こういう連鎖を
我々の業界では
Weak Link Theory
ウイークリンクセオリーと言います。

修復は
ただ強固に
同じ形態を回復するだけでは
ほかに問題が起きます

では、どうすればいいのでしょう。

バランスをとる必要があります。

歯は歯種によってそれぞれ役割があり
上の顎と下の顎で噛みあい
顎関節や筋肉と連携して機能しています。

そしてそれぞれの歯や
関節や筋肉は
年齢やそれまでの既往歴に応じて
欠けたり、すり減ったり
様々に変化してしまっています。

一つのチームとも言えます。
適材適所でメンバーが頑張っていて
でも全員が同じように歳をとっていきます。

ある日、すごい頑張っていた人がとうとうダウンして

で、その人が手術して、なんとか健康を回復したら
またダウン前と同じ仕事量で仕事させるのが得策でしょうか。

誰かがダウンしたならば
そのほかの人たちもかなり疲弊していると
考えるべきです。

皆が無理せず、長く活躍できて
全体が良好に機能しつづけるためには
調和を達成する必要があります。

歯の治療は突き詰めようとすると
極めてオーダーメイド性が高いと感じます。

歯科医としてのかかわり方としては
1本治して終わり、とするかかわり方も
ありますが、

私はあまりしたくありません。
トラブルの連鎖になるからです。
ずーっと歯科医院に通うことになりかねません。

一方で
なぜこの歯が悪くなったか、
この先どうなることが予想されて
では今後生活の質をできるだけ下げないために
どうするのが最善か

あるいは逆に
今より生活の質を上げられるアプローチ、
治療法や材料はあるのか、

そういったことを考えながら対応すると
治療期間や費用はかかりますが
かなりいい結果が出せるレベルまで
歯科医学は来ている、と感じています。




 
2021年06月20日 19:06